やがて、プログラミング部のある中学校に進学したいと、勉強嫌いを返上してがんばり、中学受験に成功しました。今では不登校どころか、毎日楽しく通学しています。
ほかにも自閉傾向が強く、ほとんど言葉を発しないため小学校でいじめにあい、不登校になったお子さんがいました。ですが、ピアノに熱中してぐんぐんと腕を上げ、高校の音楽科に進み、最終的には音楽大学のピアノ科に進学したというケースもあります。
今でもコミュニケーションは不得手ですが、困ったときは同じくピアノを愛する同級生たちがサポートしてくれるそうです。
どんな子にも、得意なもの・好きなものは必ずあります。
それに出合えたときは、子どもの目の輝きがまるで違います。
ですから、嫌なことを無理やり続けさせるのは好きなことに出合うチャンスを逃すという意味で大きな機会損失であり、非常にもったいないことといえるでしょう。
親がしてあげられるのは条件設定ではなく、世の中にはこんなものがあるよという情報をたくさん提供して、お子さんに合ったものに出合えるチャンスをつくり出すことなのです。
子どもにとって親は最高の味方
「信頼貯金」を積み重ねよう
大げさな言い方かもしれませんが、子どもにとって宇宙一の理解者になれるのは、学校や病院の先生ではなく親だけです。特にお母さんは、おなかの中にいるときからずっと一緒にいるわけですから、実はわが子が何を考えているのか感覚的に理解できていると、私は思っています。
ただ、本当は理解しているのに、そこに親や周りの大人の願望や理想・期待が入り混じるせいで、混乱してよくわからなくなってしまうのです。
ですから、親としての願望や理想をいったん手放して、「子どもの最大の理解者になろう」と考えてみませんか?
この考えがベースにあると、「この子のために何ができるか考えてみよう」という視点で行動できるようになります。すると、不思議なことに子どもはぐんぐんと伸びていくのです。
だからこそ、「何があっても私はあなたの味方だから大丈夫」という姿勢を見せることが大切です。
態度でも言葉でも、「何があっても、あなたは絶対に自立してやっていける、大丈夫だよ。お母さん・お父さんは信じてるよ」というシグナルを送り続けましょう。
これを、私は親と子の「信頼貯金」と呼んでいます。この信頼貯金は日頃の小さな積み重ねによって大きく育っていきます。
『3000人の発達障害の子を診察してきた医師が教える ASD(自閉スペクトラム症)・グレーゾーンの子どもをありのまま育てる方法』(星野 歩、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
子どもなりに、学校や習い事で挫折感を味わうこともあるでしょう。学校の給食当番で失敗してこぼしちゃったとか、ドッジボールがうまくできなかった、ほかの子はできた問題を自分だけ解けなかった、など。
大人から見れば些細なことかもしれませんが、子どもは日々、傷ついた心を抱えて帰宅します。
そんなわが子に、
「きちんと報告してくれてありがとう。大丈夫、そんなことがあっても、ママ(パパ)は〇〇ちゃんのことが大好きだよ」
「〇〇くんの正直なところが一番すごいと思う」
と毎日声をかけ、具体的にほめる――それが信頼貯金として積み重ねられ、子どもの揺るぎない自己肯定感につながっていくのです。







