しゃがみ込んだ子どもに寄り添って声をかける保護者写真はイメージです Photo:PIXTA

発達検査を受けても、ASD(自閉スペクトラム症)やADHDといった診断がつかない「グレーゾーン」の子どもは少なくない。だが、医師が最も注意を向けているのは、むしろこの“診断がつかない子どもたち”だという。問題が見えにくいからこそ支援の網からこぼれ落ち、気づいたときには学校生活の中で困難が顕在化していることも多いからだ。なぜ「グレーゾーン」は安心材料ではなく、むしろ早期支援のサインになり得るのか。その理由を解説する。※本稿は、医師の星野 歩『3000人の発達障害の子を診察してきた医師が教える ASD(自閉スペクトラム症)・グレーゾーンの子どもをありのまま育てる方法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

支援の枠から漏れてしまう
「グレーゾーン」とは

 発達検査を受けて、明確にASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習症)であるという診断がつくケースばかりではありません。はっきりとした診断が下りないものの、「ASDあるいはADHD傾向がある」といわれるケースは多々あります。

 いわゆる「グレーゾーン」ですね。医学用語ではないのですが、イメージがつきやすいためか、かなり一般的な言葉になっているようです。

 現在、診断は『DSM-5-TR』(編集部注/米国精神医学会が発行する精神疾患の診断基準)や『ICD-11』(編集部注/世界保健機関が定める「国際疾病分類」の第11版)を基準に下されるのですが、検査を受ける年齢によっても、実施する医師によっても結果が異なることがあります。

 たとえば、A病院では、発達障害とは言い切れない(グレーゾーン)といわれたけれど、隣町のB病院で検査を受けたら、ASDであるという診断が下りたということも多々あるわけです。