「最近は何でもパワハラになるから、部下を指導できない」。そんな悩みを抱える管理職は少なくありません。しかし、本当にパワハラになる上司と、厳しく指導しても信頼される上司の違いはどこにあるのでしょうか。実は、ハラスメントをしてしまう管理職には、本人も気づいていない共通の勘違いがあります。この連載では、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

50代、ハラスメントする管理職の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

ハラスメントする管理職の特徴

「最近は何でもハラスメントになるから、部下を指導できない」

 そんな声を聞くことがあります。
 しかし、本当にハラスメントを恐れるべきなのでしょうか。
 実は、ハラスメントを起こす管理職には、ある共通した勘違いがあります。

 結論から言えば、「感情で部下を動かそうとすること」です。

ワースト1:「感情」で部下を動かそうとする人

リーダーの仮面』という本で私は、次のように書きました。

マネジメントができない。
その背景には、「パワハラ問題」が潜んでいるはずです。
「ちょっとでもキツく言ったら、パワハラになるのではないか?」
「部下に気を使わない上司は、パワハラ上司かもしれない……」
そんな心配をしている人がたくさんいるでしょう。
もちろん高圧的な態度や理不尽を押し付けることは絶対にやってはいけません。
しかし、パワハラになることに怯えるあまり、「部下に指示ができない」「すべて自分で背負いこんでしまう」ことになるのは、問題です。
――『リーダーの仮面』より

 ハラスメントを恐れるあまり、何も言えなくなる管理職がいます。
 しかし、それもマネジメントではありません。

 リーダーの仕事は、必要な指示を出し、組織を機能させることです

 問題なのは、指示を出すことではなく、感情をぶつけることなのです。

ハラスメントは「ルール不足」から生まれる

ちゃんとマネジメントを実践してもらうと、パワハラは起こりません。
感情を脇に置いて「ルール」で管理し、「位置」によるコミュニケーションをするからです。
ルールの設定と運営だけでは、感情が入り込む余地がありません。
自分が人間として上に立つことで、部下は言うことを聞くと勘違いしているからマウントを取ろうとするのです。
自分のほうが強くないといけないと思うから、部下を威圧してしまいます。
あるいは、自分のほうが仕事について詳しくないといけないと思うから、部下の無知に対して必要以上の指摘をしてしまうのです。
上司と部下は、あくまでも会社のルールで規定された関係です。
ルールで規定されていない友達関係のように、強い人や、詳しい人が力を持つという関係ではないのです。
――『リーダーの仮面』より

 ハラスメントをする管理職ほど、「自分の力」で部下を従わせようとします
 だから、威圧する、怒鳴る人格を否定する、マウントを取る、という行動につながります。

 一方、優れたリーダーは違います。
「私はこう思う」ではなく、「ルールではこう決まっています」と伝えます

 だから、感情が入り込む余地がありません。

指摘すべきなのは「人」ではなく「事実」

ルールがきちんとあって、そのルールに対して「できていない事実を淡々と指摘する」ということであれば、パワハラにはなり得ません。
「赤信号だから止まってください」と、ルールに従ってモノを言う分には、感情が入り込む余地はないのです。
赤信号を守らなかったことを指摘したら、「パワハラだ!」と言い返されるなんて逆ギレもいいところです。
仮面をかぶり、堂々と伝えるリーダーになるのです。
――『リーダーの仮面』より

 ここが最も重要です。
 リーダーが指摘すべきなのは、「あなたはダメな人だ」という人格ではありません。

「ルールではこうなっています」
「期限は昨日でした」
「目標は未達です」

 という事実です。事実を伝えることは、ハラスメントではありません

 むしろ、それを避けて曖昧な組織をつくることのほうが、部下にとって不幸なのです。

 50代でハラスメントをしてしまう管理職。
 その特徴は、「感情」で部下を動かそうとすることです。

 リーダーに必要なのは、怒ることでも、我慢することでもありません。
 ルールに基づいて、事実を淡々と伝えることです。だからこそリーダーは仮面をかぶりましょう。

(本記事は、書籍『リーダーの仮面』の一部を抜粋・編集したものです)