貯金は大切です。しかし、「とにかく貯金さえしていれば安心」と考え、お金を増やすことだけを人生の目標にしてしまう人も少なくありません。『世界の果てのカフェ』には、そんな「貯金そのものが目的になってしまった人生」に警鐘を鳴らす印象的な言葉があります。「何度読んでもハッとする」と話題の一冊から、相談者に響いた名言について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「何も考えずに貯金する人」が最低の人生を送る理由・ベスト1Photo: Adobe Stock

何も考えずに貯金する人

 前に、こんな相談を受けたことがあった

「48歳、会社員です。貯金が5000万円あります。毎月毎月、必ず貯金をしています。ボーナスも丸ごと貯金しています。何も考えずに貯金するのは間違っているでしょうか?」

 相談者は、お金に困っているわけではなかった。
 むしろ、同世代の中では十分すぎるほど資産を築いていた。

 それでも、どこか満たされない表情をしていた。

「もっと貯めなければ安心できない」

 そう思い続けているようだった。
 私はこの相談を聞いて、『世界の果てのカフェ』という本の一節を思い出した。

貯金は目的ではなく、手段である

 本書には、こんな言葉がある。

「あるとき、とても大切なことに気づいたんだ。私にとって引退とは、やりたいことができるお金が貯まる未来のことだった。そのときにやっと、好きな活動に自由に参加して、毎日を充実した形ですごせるようになるものだと考えていたのさ。
でも、ある晩、特に仕事でやりがいのない1日をすごした後、もっと良い方法があるはずだという結論に至った。時が経つにつれ、物事の仕組みについて、どういうわけか考えがねじれていたことに気がついた。こんな簡単なことに自分が混乱していたなんてばかげているんだが、当時はそうだったんだ」
――『世界の果てのカフェ』より

 この文章を読むと、多くの人がハッとするのではないだろうか。
 本来、お金は「やりたいことを実現するための道具」である。

 しかし、いつの間にか「お金を増やすこと」が目的になってしまう
 すると、「まだ足りない」「もっと貯めよう」が終わらなくなる。

「いつか幸せになる」は永遠に来ない

 さらに本書では、こんな気づきが語られる。

「私は気がついた。私にとって、毎日が質問の答えを満たすためのチャンスなんだよ。やりたいことをするチャンスは毎日ある。『引退』まで待つ必要なんてないのさ」
――『世界の果てのカフェ』より

 私は、この一文こそ本書の核心だと思う。
 多くの人は、「あと1000万円貯まったら」「退職したら」「住宅ローンが終わったら」
 そうやって、「いつか」を待ち続ける

 しかし、その「いつか」は、また次の「いつか」に置き換わる。
 だから人生はずっと準備期間のまま終わってしまう

貯金額ではなく、「使い道」を考える

 相談者に私はこう伝えた。

「貯金額ではなく、そのお金でどんな人生を送りたいのかを考えてみてください」

 もちろん、生活防衛のための貯金は必要だ。
 老後への備えも大切である。

 しかし、何も考えずにお金だけを積み上げても、それだけでは人生は豊かにならない。

 本当に考えるべきなのは、「何のために貯めるのか」という問いだ。

世界の果てのカフェ』が教えてくれるのは、「貯金をするな」という話ではない。
「お金のために人生を使うのではなく、人生のためにお金を使おう」ということだ。

 その順番を間違えなければ、貯金は不安の象徴ではなく、自分らしい人生を支えてくれる心強い味方になるはずである。

(本稿は、『世界の果てのカフェ』の発売を記念したオリジナル記事です)