子どもの頃に身につけた何気ない習慣は、大人になってからの人間関係にも大きな影響を与える。勉強や運動のように目に見える能力ではなく、一見すると些細に思えることが、その後の生きやすさを左右することも少なくない。では、将来、人との信頼関係を築ける子と、生きづらさを感じやすい子の違いはどこにあるのだろうか。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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「ありがとう」を伝える難しさ
「うちの子、“ありがとう”が言えなくてさ……」
年長のお子さんを育てるお母さんから、こんな話を聞いた。
園でのエピソードを、幼稚園の先生から聞いたそうだ。
お子さんは紙飛行機を折っていたが、どうしてもうまく飛ばなかったらしい。
何度折り直しても、すぐに落ちてしまう。
すると、隣にいたお友達が、「ここをもう一回折ると飛ぶよ」と教えてくれた。
その通りに折ってみると、今度は教室の端まで気持ちよく飛んだ。
お子さんはうれしそうに何度も飛ばして遊んでいたという。
先生が、「○○ちゃんに教えてもらったから、飛ぶようになったね」と声をかけると、お子さんは照れたように笑うだけで、何も言わなかったという。
帰宅後、お母さんが「教えてもらったんだって? ありがとう』って言えた?」と聞くと、「……言えなかった」と話す。
「どうして?」とお母さんが聞くと、お子さんは少し考えてから、「なんか……言うの、はずかしかった」と答えたそうだ。
そのお母さんは、「教えてもらうことははずかしいことじゃないんだよ。『ありがとう』って言われると、教えたお友達もうれしいし、『また困っていたら教えてあげよう』って思えるんだよ」と話したという。
「ありがとうって、思っているだけじゃ伝わらないよね。はずかしくても、少しずつ口に出せるようになってほしい」とそのお母さんは話していた。
「ありがとう」を言う練習をしよう
たしかにそうだ。
大人になってからも、「ありがとう」を自然に言える人は、人との関係を築くのが上手である。
一方で、「はずかしいから言えない」が当たり前になると、助けてもらうことや、人とのつながりまで避けるようになってしまうことがある。
小学校入学前後に身につけておきたい、93のおやくそくをまとめた『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』には、「ありがとうの きもちを つたえよう」という項目がある。
『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用拡大画像表示
・ごはんを たべるまえに 「いただきます」と いおう。
・ものを かりたときは 「かしてくれて ありがとう」と いおう。
・おやつを わけてもらったら 「ありがとう。ごちそうさま」と いおう。
・てつだってもらったら 「たすけてくれて、ありがとう」と いおう。
(『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用)
感謝の気持ちは、思っているだけでは相手には伝わらない。
「ありがとう」と言われると、相手はうれしくなり、「また力になりたい」と思えるものだ。
そうした小さなやり取りの積み重ねが、人との信頼関係を育てていく。
「ありがとう」は、単なるマナーではない。人と気持ちよく支え合いながら生きていくための、大切な言葉なのである。
小さいうちから、はずかしくても少しずつ口にする習慣を身につけておきたい。









