「共働きなのに、なぜ自分ばかり家事や育児を抱え込まなければならないのか」「仕事と家庭の板挟みで、もうメンタルが限界に近い……」そんなふうに日々、目に見えないプレッシャーと戦いながら、心身ともに疲れ果てていませんか? その息苦しさの背景には、日本企業の雇用システムにありそうです。話題の書籍『働き方の科学』より、エビデンス(科学的根拠)に基づいて、日本人女性のメンタル不調と家事育児負担のシビアな真実を解き明かします。(構成/ダイヤモンド社・上村晃大)
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日本人女性は世界で最も「板挟み」に苦しんでいる?
「日本人女性の家事育児負担は世界一重い」といった言説をネットなどで目にした方は多いかもしれません。
実際のところはどうなのでしょう。話題の書籍『働き方の科学』から引用します。
その結果は図1のとおり、日本人女性が3か国の男女の中で最も仕事と家庭の葛藤を抱え、板挟みになっていることがわかりました。また、メンタルヘルスが最も悪いのも日本人女性でした。
図1 日本人女性は仕事と家庭の葛藤を抱き、メンタルヘルスが悪い
世界一かどうかはともかく、仕事と家庭の板挟みの度合いが高いのは間違いがなさそうです。メンタルヘルスも最も悪い結果に。『働き方の科学』ではさらに続けます。
女性のメンタル不調の根本原因は「負担の偏り」にある
つまり、家事・育児などの負担が女性に偏っていることが、日本人女性のメンタル不調の大きな原因となっているのです。
こちらの記事「「共働きなのに夫が家事をしない」身も蓋もなさすぎる理由」でも紹介したように、共働きにもかかわらず家事育児負担が女性に偏っていることがメンタルに悪影響を及ぼしているようです。さらに、主要先進国間で女性の家事育児負担を比較した研究も紹介しています。
G7で最悪の格差
図2 日本は無償労働の男女格差が大きい
少なくとも、日本の女性は先進国で一番家事育児負担が重い、ということは言えそうです。有償労働の時間も長く、仕事でも家庭でも過度な負担を強いられているのが実態です。
一方で、日本人男性の有償時間の長さも突出しています。
日本特有のメンバーシップ型雇用というのは、こちらの記事「日本企業が長時間労働を評価したがる「残念すぎる」理由」で詳しく説明しています。労働時間の長さそのものが「やる気」として評価され、男性が残業を前提に働くシステムである以上、その裏返しとして家庭の負担はすべて女性に偏ってしまいます。
この雇用慣行や人事評価のあり方を根本からなんとかしないと、現状は変わらなさそうです。
*1 Chandola, T., Martikainen, P., Bartley, M., Lahelma, E., Marmot, M., Michikazu, S., ... Kagamimori, S. (2004). Does conflict between home and work explain the effect of multiple roles on mental health? A comparative study of Finland, Japan, and the UK. International Journal of Epidemiology, 33(4), 884-893. https://doi.org/10.1093/ije/dyh155
*2 家庭が仕事に及ぼす葛藤は「家庭での心配事や問題によって、仕事に集中できなくなる」などの4項目、仕事が家庭に及ぼす葛藤は「仕事によって、家族と過ごせる時間が減る」などの4項目によってそれぞれ測定されています。各項目は1~3点のリッカート尺度であり、これらを合計することでそれぞれの葛藤に関する4~12点のスコアとなります。また、メンタルヘルスは、「SF-36」と呼ばれる質問票のうち、「落ち込んで憂うつな気分でしたか」など、メンタルヘルスに関する項目から算出される0~100点のスコアによって評価されています。
*3 Sekine, M., Chandola, T., Martikainen, P., Marmot, M., & Kagamimori, S. (2010). Sex differences in physical and mental functioning of Japanese civil servants: Explanations from work and family characteristics. Social Science & Medicine, 71(12), 2091-2099. https://doi.org/10.1016/j.socscimed.2010.
09.031
*4 この研究では、注2と同様の方法で、仕事と家庭の葛藤やメンタルヘルスが測定されています。








