母親と子どもが本を見ながら笑顔で過ごす様子写真はイメージです Photo:PIXTA

多くの親は日々、わが子の教育やしつけに心を砕いている。「育て方が将来を左右する」という考えもある。しかし、長年にわたる行動遺伝学の研究が、その常識を改めて問い直す。親子の関係と、子の成長をめぐる意外な研究結果とは。※本稿は、ロバート・プロミン『こころは遺伝する:DNAはいかに〈わたし〉を形づくるか』(河出書房新社)の一部を抜粋・編集したものです。

なぜ子育てと子の将来に
関係があるように見えるのか

 子どもの人生にとって、親は明らかに、ものすごく重要である。子どもの発達に欠かせない身体的・心理的な基盤を提供するのは親なのだから。

 しかし系統的な個人差の大部分を遺伝が説明し、環境の影響が一貫性のない不安定なものならば、親が子どもの成りゆきに与える影響は、受精の瞬間に渡した遺伝子以外にはあまりないことになる。

 パーソナリティやメンタルヘルス、認知能力に対する共有環境の影響は青年期以降にはほとんどなくなる。そのなかには、利他主義、やさしさ、思いやりなど、親の影響を受けやすいと考えられてきたパーソナリティ形質も含まれる。

 何百もの形質のうち、例外的に共有環境の影響が認められたのは、宗教的・政治的な信条だけだった。親として、あなたは子どもの信仰心に影響を与えることができるが、その場合ですら、共有環境の影響は、個人差の20%しか説明しない。

 さらに、子育てと子どもの成りゆきとのあいだに相関がある場合も、その相関関係をもたらすのは主に遺伝であることがわかっている。