相関は「環境のなかの遺伝」に起因するのであって、環境そのものがもたらしているわけではない。要するに、子育てと子どもの成りゆきに相関があるのは、3つの理由によるということだ。
ひとつめは、親と子どもが遺伝的に50%ほど似ているから。身も蓋もない言い方をしてしまえば、親切な親の子どもが親切なのは、どちらも遺伝的に親切だからである。
ふたつめの理由は、親の子育てのしかたは子どもの遺伝的傾向への反応であることが多く、原因ではないからだ。たとえば、抱きしめられるのが苦手な子どもに対して、親がつねに愛情深く接するのはむずかしいのではないだろうか。
三つめの理由は、子どもは親と関係なく、自分の環境を自分でつくっていくから。子どもは自分の遺伝的傾向に合うような環境を選び、修正し、つくり出していく。スポーツや、楽器の演奏をしたいと望む子どもは、親にせがんで実現させようとする。
子育てノウハウ本は
「遺伝子」の影響を語らない
突きつめると、親が子どもに与える最も重要なものは遺伝子だということになる。しかし多くの親御さんがこの事実を受け容れ難く感じるのではないだろうか。親として、あなたは心の底でこう感じているはずだ。自分は子どもの発達に違いを生むことができる。読み書き計算ができるようにしてあげられるし、内気な子どもが内気さを克服できるようにしてあげられる、と。
巷にあふれる子育てノウハウ本や、「正しい子育て法はこうだ」と伝えて親たちの不安をあおるメディアのせいで、あなたはあたかも違いを生むことができるかのような錯覚に陥らされている(とはいえ、そうした本は子育てのちょっとしたコツを知るのには役立つ。たとえば、子どもを寝かしつける方法や、好き嫌いが激しい子どもへの食事の与え方、しつけのしかたなど)。
しかし子育てのベストセラー本が「これを読めば子どもはこう育つ」と謳っているのなら、その主張には信憑性がない。そうした本には、親が厳格で要求の厳しい「タイガー」だったからこそ、あるいは、やり抜く力を教えたからこそ、子どもが成功したといった事例が書かれているけれど、その根拠はどこにあるのだろう?遺伝の影響を取り除いたうえで、そうした子育てが純粋に子どもの成長に違いを生むことを示した証拠は書かれていない。







