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人は家庭や学校、友人関係、仕事など、さまざまな環境の影響を受ける。だから「遺伝の影響は次第に小さくなる」と考える人も多いだろう。しかし、行動遺伝学の研究は、異なる結果を突きつける。私たちは遺伝について、何を誤解しているのだろうか。※本稿は、ロバート・プロミン『こころは遺伝する:DNAはいかに〈わたし〉を形づくるか』(河出書房新社)の一部を抜粋・編集したものです。
遺伝の影響は「弱まっていく」と
多くの人が勘違いしている理由
歳を重ねるにつれて、遺伝の影響は強まるか弱まるか、どちらだと思いますか?この質問に対して、ほとんどの人は(相対的に)「弱まる」と答える。
それにはふたつの理由がある。ひとつは、私たちは環境の風に絶えずさらされているのだし、その効果が年々積み重なっていくのは明らかなことに思えるからだ。歳を取るにつれて、親や友人、人間関係や仕事、事故や病気などの影響は増える一方なのだから。
ふたつめの理由は、遺伝の影響は受精の瞬間から変化しないという誤った考えを人々がもっているためだ。なぜなら母親と父親から受け継ぐDNAは卵子と精子が出会った瞬間から変化しないのだから、と。
そうした観点から見ると、行動遺伝学の大発見は直感に反している。遺伝の影響は私たちが歳を取るにつれて強まることが示されたのだ。心理的形質のうち、年齢が上がるにつれて遺伝的影響が弱まるものはひとつもなく、なかでも、年齢とともに遺伝率が劇的に上がるのは認知能力だと判明した。
認知能力には言語能力や空間認知能力などいくつもの能力があるが、実際には、ひとつの能力が高ければ、他の能力も高い傾向にあることがわかっており、たとえば記憶力が高い人は、他のすべての知能も高い傾向にある。







