AIの取引戦略は市場に勝てるか、長期運用が示す限界ILLUSTRATION: DAN PAGE FOR WSJ

 大規模言語モデル(LLM)は恐怖や強欲といった人間の感情には左右されないかもしれないが、長期間にわたって市場を上回る成績を上げることには依然苦戦している。

 研究チームが最近、LLMを活用したさまざまな取引戦略について20年間のバックテスト(過去データを使用した精度の検証)を実施したところ、その大半が、単純なバイ・アンド・ホールド(長期保有)投資を上回るパフォーマンスを達成できなかったことが分かった。その理由は驚くほど人間的だ。ボットは強気相場では慎重になりすぎて利益を取り逃がし、逆に弱気相場では過度に積極的に取引することで多大な損失を被ったのだ。

 投資家が人工知能(AI)を使って数字を分析したり決算説明会の内容を要約したりするケースが増える中、今回の研究は、取引のアドバイスにAIを頼ることには注意が必要だということを示している。

 研究者の一人であるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のミハイ・ククリング教授(数学)は「主要な発見は、LLMを活用した投資戦略の見かけ上の優位性は、より長い期間にわたって、より多くの銘柄を対象に評価すると、大部分が失われてしまうということだ」と述べた。

当初の期待

 以前の研究では、AI取引戦略に有望な結果を示すものもあったが、ククリング氏によると、それらはごく少数の銘柄を短期間にわたって検証したものだったという。同氏のチームは、2008年の金融危機、新型コロナウイルス流行時の市場の急落、その間の強気相場など、さまざまな市場環境においてLLMがどのようなパフォーマンスを示すかを検証しようとした。また、現在も取引されている銘柄のみを対象にすることで運用成績が過大評価される、バックテストで一般的な「生存者バイアス」を避けるため、上場廃止となった銘柄も分析対象に含めた。

 ノースカロライナ州ライツビルビーチのアリソン・インベストメント・マネジメントのパートナー、デービッド・アリソン氏は「市場環境が比較的安定しているときは、多くのモデルがうまく機能する」と述べた。「しかし、金融市場は安定していない」