Kさんは、もともと採用担当でした。

 学生のころから、コミュニティーやチームをつくることが好きで、やりがいを感じるため、仲間を集める仕事である採用の仕事を選びました。

 そしてあるとき、上司から「総務もやってみない?」と声がかかります。

 業務の幅が広がり、「できることが増えていく感覚」がうれしかったと言います。

目の前の仕事に集中できている
状態こそが「いいキャリア」

 けれど、仕事に慣れてきたころから、別の迷いが生まれました。

 このまま採用を極めるべきか。

 それとも労務や給与計算まで広げ、人事業務全体を担える人材になるべきか。

 つまり、「キャリアを横に広げるのか、縦に深めるのか」という選択肢が増えた途端、「どちらを選ばないか」という不安も同時に膨らんだのです。

 もし採用を極めたらどうなるか。

 もし人事業務全体を担えたらどうなるか。

 考え始めると、頭の中は未来のシミュレーションでいっぱいになります。

「この仕事は自分のキャリアになるのか」

「この経験は正解なのか」

 そう考えているうちに、目の前の業務に集中できなくなり、遠くばかり見て、足元を見失っているような状況に陥ったそうです。

 本来は、目の前の応募者と向き合い、社内の人を支え、チームを整えることが好きだったはずなのに、いつのまにかキャリアとして正しいかどうか、こればかりを考えていたこともKさんを苦しめていました。

 だから「キャリアのことを考えていなかった時期のほうが、仕事に集中できていました」と言ったのです。

 ときどき振り返りながらも、基本は目の前の仕事に手と気持ちが入っている。

 つまり、「目の前の仕事に集中できている状態」こそが、「いいキャリア」なのです。

ノルマの「捉え方」次第で
仕事が楽しくなる

 目の前には、会社から与えられた目標がある。

 だけど、その目標と自分が本当に大事にしたいものが、噛み合っていない気がする。

 そんなモヤモヤが出てきたらどうするのか。ここでは会社の目標という100%揺らがなそうなものを、70%に差し引いて考えてみます。