相談者のLさんは、営業職として働き続けてきた方で、役員になる話も出ていました。成績もよく、信頼もされていたのですが、あるとき転職を決意されました。

「疲れてしまったんです。売上を上げても、また次の数字が課されて、終わりがない。なんのために頑張ってるのか、だんだんわからなくなって……」

 来期に役員になる。それくらい認められていた方でも疲れるのです。

 けれど、転職先もまた営業会社でした。

「それでよかったんですか?」と尋ねると、返ってきたのはこんな言葉でした。

「ノルマの捉え方を変えたんです。会社の目標とは別に、自分の目標を持つことにしました」

 Lさんは、こう続けました。

「月に20人と会うと決めて、そのうち2人と“友だちになる”。これを目標にしたんです」

 営業の本来の目的からは少し外れているように思えます。

 しかし実際には、「友だちになりたい」と思いながらコミュニケーションをとると、関係性を築きやすく、結果として数字もついてきたと言います。

「SNSでつながったり、おすすめの映画を教えあったり。そういう関係のなかで仕事も一緒にやる。そっちのほうが、私には合ってました」

 この話を聞いて思ったのは、会社の目標は、あくまで「外から与えられたものにすぎない」ということです。

 もちろん、会社の目標に沿って働くことは重要です。

 でも、それだけに振り回されていると、自分の気持ちや人生の方向性を見失います。

 そもそもの「会社の目標達成のために頑張る」もおろそかになってしまうことがあります。

会社の目標を踏み台にして
自分の目標を上に積み重ねる

 そこで大事なのが、「自分なりの目的」を持つことです。

 会社の目標を100%従うものという考え方から引いた30%分を、自分の目標にしてみる。そうすると、会社の目標は70%でも、自分の目標も30%できます。自分から設けた目標は、わくわくするゴールテープになります。

 順番としてはこうです。

1 会社の目標を100%ではなく「70%くらいの余白があるもの」と捉え直す

2 差し引いた30%で自分の目標を考える

3 会社の目標を達成できてもできなくても、一喜一憂せずに自分の目標のために頑張れる

 この順序を意識するだけで、同じ仕事でも「押しつぶされる働き方」から「自分で動ける働き方」に変わります。

 自分の目標は、数字や勝ち負け以外の指標でも構いません。

 たとえば、次のようなことです。

「誰かの役に立てたか」

「笑顔を引き出せたか」

「心が動いたか」

 こうした自分基準の目標は、会社の数字には残らなくても、あなたの人生には確実に残ります。

「会社からの目標は無視しよう」と思うのはもちろん違います。それは20%のやり方です。

 大事なのは、「会社の目標を踏み台にして、自分の目標を上に積み重ねる」という考え方です。

 相談者のMさんは「会社の目標なんてほとんど忘れてるよ。別に目標を達成するために入社したわけじゃないし。僕は、娘の誕生日会に人をいっぱい呼びたくてね。その友だちづくりのために営業してるんだよ」と話していました。

 ここまでいかなくとも、きっとあなたのちょうどいい会社の目標との距離感が見つかります。