「幸せ」を感じられないのは
順番を間違えているから

「幸せを実感するために頑張っているだけ。なのに、なんでこんな複雑なんでしょう」

 キャリア相談者のZさんがぽろっとこぼした言葉です。

 私たちは「このままではいいとは思えないですよね」と意気投合しました。

 2人で出した結論は「順番」です。

「努力の量や質」ではありませんでした。

 どういうことでしょうか。

 たとえば、こんな考え方を無意識にさせられていないでしょうか。

● 評価されるまで→安心できない

● 成果が出てから→余裕を持とう

● 将来が見えてから→楽しもう

 どれも一見正しいように思えますが、この順番だと、安心も余裕も楽しむ気持ちも、いつも後回しになってしまいます。

 幸せは主観です。誰の許可もいらずに「私は幸せ」と感じていい。

 なのにいつまで経っても「幸せになるために頑張る」と考えがちです。「幸せだから頑張れる」と考えていいはずなのに。

 実際に無理なく頑張れるのは、少し満たされているときです。

 ハーバード大学の成人発達研究では、幸せな人生は目的地ではなく、歩いているプロセスそのものだと示されています。

まず、幸せな人生は目的地ではないと認識することだ。幸せな人生とは道そのもの、道をともに歩く人たちそのものだ。
――『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』P360

安心と余裕があるから
人は頑張っていられる

 幸せとは、“目指すもの”ではなく、“今、歩いているもの”なのです。

 どうしても欲しいのに手に入らないときは、順番を変えてみてください。具体的に順番を入れ替えてみましょう。

● 「今日も仕事頑張っているな」と自分で自分を安心させてから、「上司も納得する資料をつくるか」と評価を得にいく。

→「上司に評価されたから安心する」という他人優位の考え方はひと休みする。

● 子どもと目を合わせて5分話す朝を過ごして、昼休みに3分ゆっくりコーヒーを飲む余裕を確保してから、成果を出すために120%を出す。

→「余裕があるから成果が出せる自分」を採用する。

● 通勤中にお気に入りの動画や音楽に没頭して楽しい気分をつくってから、将来の計画やキャリアの棚卸しをする。

→「今を楽しめているから未来にも期待できる」考え方を試す。

 幸せ、安心、余裕。

 欲しいものを得るためには、大きな決断は不要です。

 他人の評価もいりません。

 きっと、うまくいっていたときの私たちも「先に欲しいものを得てから頑張っていた」という順番だったのではないでしょうか。