「持ち家VS賃貸」論争は、もはや答えの出ない神学論争の様相を呈している。「どこに住むか」や「ライフプラン」といった個々人の選択に応じて最適解が変化するからだろう。一方、この論争には実は、“第三の選択肢”があるという。「知らなかった」で後悔をしないように、ここで不動産の知識をアップデートしてほしい。(構成/ライター 奥地維也)
都市なら持ち家に軍配
よく話題になる、「家は買うべきか借りるべきか」という論争。これは、どちらが正しいとは一概に言い切ることができない問いです。
資産形成がしたいのであれば、賃貸物件はそもそも資産にならないので、持ち家を選択しないといけません。頻繁に転勤がある人やひとつの場所に定住したくない人は、フレキシビリティを優先して賃貸を選ぶことになるでしょう。
収入によっても、重視するポイントは変わってきます。年収が数千万円で支払う税金が多くなる富裕層になると、社宅として高級賃貸に住みながら節税し、与信で投資用の不動産を購入する人も多いです。
「持ち家VS賃貸」論争には判断の分岐点になるポイントがあります。よく知られていることではありますが、まずは改めてこれを押さえておきましょう。
第一のポイントは、「都市か、地方か」です。人口が増えれば経済が発展し、人口が減れば衰退する。これがマクロ経済の基本です。不動産価格も経済発展と連動しますから、人口が増える場所では不動産価格は上がりやすく、人口が減る場所では下がりやすいと言えます。
少子高齢化と人口減が深刻化する日本ですが、都市部の人口は10年先まである程度キープされることが予想されています。よって、東京と大阪の二大都市圏、あるいは札幌、仙台、福岡といった、周辺の人口を吸収する地方の中心都市に住むのであれば、持ち家が第一の選択肢だと言えます。
インフレも不動産購入の追い風です。政府・日銀は物価上昇率2%を目標に掲げています。歴史的な視点から見れば金融政策の精度は向上しているので、今後も物価は持続的に上昇すると考えていいでしょう。住宅ローンの金利も、デフレ脱却を目指す政策のもと、まだ低く設定されています。今は持ち家を購入するメリットが大きいタイミングなのです。