持家購入と賃貸の支出をほぼ同じと試算するのは物件の広告を請け負っている事業者の「大人の事情」に過ぎない。例えば、物件検索サイトが、持家の方が圧倒的に有利と言ってしまうと賃貸の事業者全員を敵に回すことになるので、そうは言えない話になる。だからこそ、比較する前提条件としての面積等を操作することになる。分譲マンション70平米に対して、賃貸は50平米などにし、比較期間も操作するのだ。
こうして「どっちもどっち」という比較結果を作るのだが、そもそもこんなに面積と期間を変えてしまえば、条件が違うのだから比較といえるものではない。
生涯住居費で賃貸が有利になることは天と地がひっくり返ってもないのだ。
家賃は掛け捨て
住宅ローンは積み立て
次に、住み替えのケースを考えよう。住み替えは持家だと売却価格がいくらになるかでコストが大きく変わってくる。相場変動がない時の都区部の分譲マンション価格の年間下落率は平均1.2%ほどだ。住宅ローンの金利0.8%なら、借りた元本は年間約2.5%減少する(35年ローン、元利均等返済)。こうして、物件価格と同額で住宅ローンを組むと、毎年1.3%(=2.5%-1.2%)の積み立てをしているのが実態となる。
わかりやすく説明するために、1億円で買ったマンションで考えよう。10年後に12%下がって8800万円で売却することになったとする。住宅ローンの元本は既に2500万円(1億円×2.5%×10年)返しているので残りの7500万円を返済すると、手元に1300万円が残ることになる(8800万円-7500万円)。
10年間毎年1.3%、130万円の積み立てをしていたことになるのだ。これを地道な貯金で実現するのはかなり難易度が高い。
実際はこれに住宅ローン控除の還付金が上乗せされる。この税制は1人当たり最大5000万円までのローン残高に0.7%、つまり年間35万円税金が還付される。夫婦ペアローンなら、最大年間70万円になる。先ほどの130万円との合計で年間200万円の資産形成をしていることになり、10年で2000万円となる。







