健康食品やサプリで数値が改善したと聞くと、効果があったと感じてしまいがちだ。しかし、数値が変わることと、本当に健康になることは、必ずしも同じではないという。
数値が下がっても、それが「元気に長生きできる」ことを意味するとは限らない
コレステロールの数値を下げる効果があると言われる食品や薬は多い。
しかし、数値を下げたとしても、心筋梗塞を起こす確率が変わらないなら、
その効果はどれほどの意味を持つのだろうか。
さらに、心筋梗塞のリスクを下げる一方で、
がんなどで早く亡くなる確率が上がるとすれば、
それは本当に望ましい結果とは言えない。
私たちが本当に知りたいのは、その食品や薬を摂り続けることで、
元気に長く生きられるのかどうかだ。
しかし、その答えを出すための研究には、大きな現実的な壁がある。
「長生きできるか」を調べることは、構造的に難しい
コレステロールの数値をいくら下げても、心筋梗塞をおこす確率が同じなら、ありがたくないし、たとえ心筋梗塞になる率を下げても、かえってがんなどで早死にする確率が上がれば、これは困ります。
本当に知りたいのは、それで元気に長生きできるのかということですよね。しかし50歳の人たちにその薬や食品を食べさせて寿命を調べようとすると、調査結果が出るのは今から約50年後になります。これはまったく現実的ではありません。
そこで、よく行われる研究方法は、数か月後にコレステロールの数値を調べるとか、数年後までに心筋梗塞になった人や亡くなった人の数を調べるなどの方法です。
薬の場合はゴールを綿密に検討して調べますが、食品の場合にはもっと簡易的に、たとえばコレステロールの数値だけを調べていることが多いようです。
もしこれから機能性食品を摂取する機会があれば、その効果は、単に短期的に数値を下げるだけなのか、それともその先の健康状態にまで影響をおよぼしているのかにまで考えをめぐらせてください。
50歳の人たちにある食品を食べさせ、寿命への影響を調べようとすると、
結果が出るのは約50年後になる。
現実的にそのような研究を行うことは難しく、
代わりによく用いられるのが、数か月後の数値の変化や、
数年以内に心筋梗塞や死亡に至った人の数を調べるという方法だ。
薬の研究では、何をゴールとして設定するかを綿密に検討したうえで調査が行われる。
一方、食品の場合はより簡易的な方法が取られることが多く、
コレステロールの数値だけを指標にしているケースも少なくないとされている。
数値が改善したという結果が示されていても、
それがその先の健康状態や寿命にまでどう影響するかは、
必ずしも明らかになっていないことがある。
「効果がある」という情報を、もう一歩深く読む習慣
機能性食品やサプリメントの広告では、
「コレステロール値を下げる」「血圧をサポートする」といった表現がよく使われる。
こうした表現は、短期的な数値の変化を根拠にしている場合が多く、
長期的な健康状態への影響が確認されているとは限らない。
何かを摂取する機会があるとき、
その効果が単に短期間の数値の変動にとどまるものなのか、
それとも長期的な健康への影響まで確認されているものなのかを、
意識的に問い直してみることが大切だ。
気になる食品や成分については、かかりつけ医に相談しながら判断することをお勧めしたい。
今日から試すなら、機能性食品の効果を見たとき、「何の数値が、どれくらいの期間で変わったのか」を一度確認してみることだけでいい。
(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)
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●東京農大名誉教授・栄養学の専門家である医者が教える「栄養学的に正しい」食事の大原則
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基本となる知識と具体的な食事術を学ぶことで「健康法」迷子から抜け出し、食事によって人生が変わる1冊です。
主要目次
第1章 まず知るべき「栄養と食品」の基本
栄養バランスは毎日考えなくていい─「1週間」でつじつまが合えばOK
「完全栄養食」を信じるな─「これだけを食べれば大丈夫」などありえない
トクホと「健康食品」はまったくの別物─機能性食品の違いをおさえる
第2章 「病気と栄養」の危ない関係
ジュースが危ない本当の理由─果糖とブドウ糖はヤバすぎる
「体にいい油」も要注意─変性すれば、すべて悪玉
「コーラで歯が溶ける」は本当─リン酸の強さとその代償
第3章 栄養学的に「ヤバい」食習慣
ファストフードで地雷を踏むな─シェイクのヤバさを知る
黒烏龍茶でチャラにはならない─「焼け石に水」で食べ過ぎを招く
プロテインが逆効果になる?─肝臓・腎臓が酷使される理由
第4章 頭が悪くなる「脳をダメにする」食事
ビタミン不足は静かに脳を鈍らせる─頭が悪くなる仕組み
「カルシウム不足でイライラする」のは本当か?─科学的根拠はない
「コーヒーを飲まないと頭が回らない」は危険信号─カフェイン依存のリスク
第5章 「体によさそう」に惑わされないための知識
野菜ジュースで「野菜」は摂れない─ビタミンCも食物繊維も抜けている
「グルテンフリー神話」に惑わされるな─アレルギーがなければ無視していい
サプリメントは買わなくていい─価格も品質も信用できない
第6章 「食べないほうがいい」食品の誤解を解く
コレステロールは敵ではない─体の必須成分と動脈硬化の関係
「白米を食べると太りやすい」のはなぜか─長所と短所を理解する
「うま味調味料=危険」は思い込み─グルタミン酸ナトリウムの正体
第7章 誰でもすぐに実践できる「栄養学的な食習慣」
チェーン店で健康的に食べる方法─最強はリンガーハットの「ちゃんぽん」
パフォーマンスを上げるには「お酢」を飲む─最速でシャキッとする
「腸活」ブームが見落としているもの─腸内細菌は大腸にいる
第8章 「体調と体質を改善する」食事術
風邪をひいたらホットジュースを飲む─「ダイダイ湯」「生姜湯」がいい
食べるべき食品ベスト1は「納豆」─ビタミンKが爆増する発酵の力
「なんとなく不調」なときは食べものを疑う─5つの食事リセット術
第9章 「ストレスから体と心を守る」食事術
老化と病気は抗酸化物質で防ぐ─「ポリフェノールたっぷり」に騙されない
「おいしく・安く・栄養豊富」な旬の食材を選ぶ─無駄にお金をかけなくていい
強いストレスには「動物性たんぱく質」と「ハーブティー」─メンタルを整える食事
第10章 「やせながら元気になる」栄養学的ダイエット術
「2日で1.5kg」は誰でもやせられる─大切なのは継続できるかどうか
リバウンドを防ぐための小さな工夫─体だけではなく「心の健康」を維持する
「体脂肪率」に振り回されるな─大切なのは「経過」を追うこと
第11章 「健康なまま長生き」するための食事術
「空腹は最強のクスリ」は本当か?─実践してわかった長所と短所
40歳から筋肉は勝手に減り続ける─寝たきり回避には「たんぱく質」が必須
発がん性物質を避けるには「焼く」よりも「煮る」─肉はマリネがおすすめ