「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。「地頭がいい人」が普段やっていることとは? ライターの照宮氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

「地頭がいい人」が日常でやっている、たった1つのことPhoto: Adobe Stock

ジャカルタで感じた違和感

インドネシアの首都ジャカルタはとにかくモールが多い街だった。
どこへ行っても巨大なモールがあり、週末のたびに出かけていた。
モールの中は、東京に引けを取らない高級ブランド店がずらりと並んでいる。そうかと思えば、モールのすぐ隣には、1食100円以下の屋台がひしめき合っていた。

インドネシアは、勢いがあり面白い国だ。だが日本と比べると、平均所得はまだまだ低い。それなのに、こんなにモールがあって経営は大丈夫なのだろうかと心配になった。

構造が「見えている人」と「見えていない人」の差

一代で東証プライム上場企業を築いた経営者でもありベストセラー著者でもある木下勝寿氏は著書『地頭スイッチ』でこう述べている。

「なぜ?」を繰り返すと、世の中の構造が見えてきます。
目の前の仕事に対し「なぜ?」を繰り返すと、産業構造が見えてきます。(中略)
すると、どこで価値が生まれ、どこでお金が動き、どのポジションが堅く、儲かりやすいかが見えてきます。

――『地頭スイッチ』より

モールで感じたのは、華人系の人たちの多さだった。
もちろんローカルの人たちの姿もあるが、高級ブランド店で買い物をしている人たちには、偏りがあるように見えた。

東京よりも多いとも言われるジャカルタのモールが、なぜこれほど成り立つのか。
その疑問をたどると、インドネシアでは昔から、華人系コミュニティがビジネスの世界で大きな存在感を持っていたことがわかる。つまり、高級モールと屋台との共存は矛盾ではない。同じ街の中に、異なる経済圏が重なり合っているのだ。

「思考の解像度」を上げたい人へ

帰国してからも、繁盛店の前を通るたびに、「なぜこの店には人が集まるのか」と考えるようになった。
ジャカルタでの経験が、疑問をたどる習慣をつくってくれたように思う。仕事の構造が見えている人と見えていない人の差は、疑問を深掘りする習慣にある。
本書はビジネスの仕組みを自分の頭で読み解く力をつけてくれるかもしれない。