小規模事業者の融資判断で重要指標となる「業歴」、35~50年でデフォルト率が“上昇”に転じる理由Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

一定の業歴があれば融資判断でプラス評価

 個人事業主や家族経営が中心の小規模事業者は、生活密着型のビジネスとして地域経済を支えている。健康を守る診療所や接骨院、日常生活を支える宅配業者、訪問介護事業者、食料品店、工務店に加え、暮らしに彩りを与える理美容室やカフェ、地元の特産物を扱う飲食店や土産物店、和菓子店・洋菓子店など、多様な小規模事業者が地域の基盤を形成している。

 一方で、金融機関にとって、小規模事業者は大企業や比較的規模の大きい中小企業と比べて、財務諸表とデフォルト(倒産や延滞)との相関関係が弱く、信用リスクを評価することが難しいという課題がある。主な要因は、会計監査を受けていない事業者が多く、財務諸表の精度が低いこと、作成が年1回の税務申告時の決算書に限られ、試算表を作成していない事業者が多く、財務諸表の即時性が低いこと、事業の所有と経営が分離されておらず、財務諸表に表れない経営者個人の資産や負債の状況が事業継続に大きく影響すること――である。

 そのため、金融機関の審査担当者が経験則として、小規模事業者の融資判断のよりどころとしてきた項目の一つに業歴がある。融資の現場では、ベテランの審査担当者は、一定の業歴があれば、地域での信頼関係が形成され、取引先とのネットワークが確立されていると考えている。また、長年の経営を通じて、経営者個人の資産が蓄積されていると推測し評価している。