
商工中金が取り組む事業再生ファイナンス
事業再生ファイナンスとは、経営破綻や業績不振に陥った事業者が私的整理・法的整理手続きを通じた事業再生を進める過程で生じる資金需要に対応する融資手法を指す。つまり当該事業者の再生実現を後押しする融資である。
これは、事業者の再生ステージに応じて、「DIPファイナンス」と「EXIT(イグジット)ファイナンス」に大別される(図表)。当金庫は2001年7月にDIPファイナンスの融資制度として「事業再生支援貸付」を創設するなど、従前からこの分野に積極的に取り組んできた。
近年、複数の金融機関は、専門部署を立ち上げるなどして事業再生ファイナンスの強化を図っており、その主たる支援手法をDIPファイナンスとしている。イグジットファイナンスへの取り組みを強化する金融機関はまだ多くはないが、当金庫では特に注力して取り組んでいる。
事業再生の現場では、再生可能性や事業性を有するにもかかわらず、債務の返済緩和や放棄といった過去の金融支援の事実や過剰債務状態にあることのみを理由に適切な金融支援を受けることが難しい事業者が存在する。こうしたときこそ、金融機関本来の役割であるファイナンス機能(融資)を積極的に活用したい。当金庫はイグジットファイナンスによって、事業者へ金融正常化支援や成長マネー供給を行い、事業・財務の再構築や成長支援を後押しし、事業再生の実現に貢献することを目指している。
当金庫では、弁護士や公認会計士、中小企業診断士といった事業再生専門家の社員とプロパー社員とが、混成で「BX(ビジネストランスフォーメーション)支援チーム」を設置している。案件の検討に際しては、全国各地の営業店や経営サポート部クレジットオフィサー、関係部署が、連携して個別案件ごとに検討チームを立ち上げて対応している。