
メガバンクに第一地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、2025年最新版として取りまとめた結果を実名で公開。特集『融資先企業を「倒産」させた金融機関ランキング2025』の#51では、信組を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
融資先企業を最も倒産させてきた信用組合は?
いわき信組、兵庫県信組が倒産させた企業は何社?
地域密着の協同組織として「地域のための銀行」を標榜する信用組合。その健全性に、大きな警鐘が鳴った。福島県いわき市のいわき信用組合で判明した総額200億円超の不正融資・横領は、深刻なガバナンス崩壊事案となった。
20年以上にわたり歴代理事長が隠蔽し、内部けん制も金融当局の検査もすり抜けてきた構図は、株主監視が存在しない協同組織故の目詰まりを如実に示した。
いわき信組は2012年に震災特例で公的資金175億円の注入を受けた地域の要だった。しかし、地元企業は「なくてはならない存在だからこそ物が言えなかった」と口をそろえる。独裁的トップに異議を唱えた職員は左遷され、預金者には無断で口座を開設して資金を還流。地域密着が裏返り、監視の目が届かない温床となったのだ。
6月の総代会(株式会社でいう株主総会)で経営陣は一新され、9月には弁護士や公認会計士による経営監視委員会を設置予定だ。それでも未解明の資金流出は多く、東北財務局に提出した業務改善計画の実効性が再建の試金石となる。公的資金の返済計画をどう描くのか、9月以降の進捗報告に全国の信組が注視している。
地域に根差した信組の経営の行方は、資金調達力が弱い地場の小規模・零細企業にとって死活問題だ。企業を育て、平時には成長資金を供給するのも金融機関、危機に陥った際に命運を握るのも金融機関である。とりわけメインバンクが「支えるか、引くか」は、再生か倒産かを分ける峠になる。
なおメインバンクとは、通常は貸し出しシェア首位で長年にわたり密接な取引関係を築く金融機関を指すが、企業と金融機関でその認識が食い違うケースも少なくない。
24年度の全国の企業倒産件数は、11年ぶりに1万件を超えた。今後も倒産件数の増加と金融機関の融資姿勢が、厳しくなるのは必至とみられているが、どの金融機関が今後、企業に厳しく臨むのか――。それを知るには過去に注目するとよい。その金融機関の将来の行動を最もよく表しているのは、口先のきれい事ではなく過去の行動なのだから。
メガバンクに第一地銀、第二地銀、信用金庫に信組――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、25年最新版として取りまとめた「融資先企業を『倒産』させた金融機関ランキング」を実名で公開する。
今回は、信組を取り上げる。ランキングの上位には規模が大きい信組が入っており、5位にいわき信組、3位に兵庫県信用組合がランクインしている。
ちなみに「金融機関が倒産させた企業数の多い都道府県ランキング」は、下表の通りだ。第一地銀や第二地銀、信金、信組など主な金融業態の内訳も明記したので、ご覧いただきたい。
3月から始まった本特集も、終わりが近づいてきた。次回は最終回で、全金融業態をカバーした総合ランキングをお届けする予定だ。それでは早速、今回の信組の結果を確認していこう。