『エンゼルバンク』 (c)三田紀房/コルク
三田紀房作の転職マンガ『エンゼルバンク』を題材に、「転職デビル」の名で知られる転職アドバイザー・安斎響市氏が「転職のリアル」を解説する連載「『エンゼルバンク』で学ぶ転職のウソとホント」。第11回では「転職面接で、会社の質を見抜く方法」について解説する。
転職面接で、会社の「質」を見抜く方法
転職代理人・井野真々子は、営業担当の田口僚太と共に、クライアントの一つである鳥満商事のオフィスに足を運びます。田口は井野よりも年下ですが、とても頼もしい印象でこう話します。
「業績などを調べることはもちろんですが、そこまでしなくても会社の質はある程度把握できますよ。転職面接の時でもチェックできるポイントがあります」
転職先の候補となる企業選びや、面接前の企業研究の際に、公式のIR情報や業績資料を調べたり、売り上げや利益の推移を追ったりする人は多いことでしょう。これは転職活動において、最低限やっておくべき行動です。
しかし、実は私たちにできることは、それだけではありません。田口が言っている通り、面接でオフィスを訪れた際にも、会社の質を見抜くための良い方法がいくつかあります。
「例えば、この応接室。会社のイメージと社内の雰囲気が違ってる場合は疑った方がいい。話してることは革新的なのに室内の調度品が妙に保守的だったり。環境に最大限配慮していると言いながら、象牙の置物を飾ってるとか。そういう無神経さは経営にも表れる。表裏使い分けて誠実な商売していないかもしれない」
この言葉は、非常にグサッと来ます。
私自身も20代の頃、面接でのオフィス訪問時にこうした兆候を見抜けず、転職後に非常に痛い目に遭ったことがあるからです。
優良ホワイト企業こそ、実は要注意
その会社は、誰もが知る大手有名企業で、ブランドも強く、世間的なイメージはピカイチ。「こんな立派な会社で働けたら最高だろうな……」と思うような、素晴らしい職場です。
実際、私は今でも色々な人に「え!? あの会社で働いていたんですか!? それはすごいですね!!」と褒められます。そのくらいの超有名企業です。
しかし……その実態は、地獄でした。
少なくとも、私が働いていた当時の職場環境は、入社前に抱いていたイメージとは大きく異なりました。
テレビのCMで見る先進的で開放的な印象とは真逆で、セクハラやパワハラ、アルハラは日常茶飯事。毎日職場では怒号が飛びかい、私が知る範囲でも、心身の不調から休職する新入社員が複数いました。
業務内容的にも、エクセルの数字をひたすら手作業でコピペするだけの業務や、取引先とFAXでやり取りをする仕事など、入社前に私が思い描いていた「大手ハイクラス企業での実務経験」とは大きく異なる内容で、少なくとも私には、自分の市場価値が高まる経験とは思えませんでした。
まさか、世間体が抜群に良い、誰もがうらやむ「超大手ホワイト企業」の実態が、こんなことになっていたとは……。私は愕然としました。
しかし、思い返してみれば、未来の最先端技術に投資するグローバル企業のはずなのに、本社オフィスの入口にはどこか古めかしい制服を着た女性の受付スタッフが10人以上ズラッと並んでいました。他にも、社内業務を担当する内勤部署なのに「全員ビジネススーツにネクタイと革靴が必須」という服装規定もありました。
今思えば、「先進的で自由な会社」というイメージと矛盾する、なんだかヤバそうな雰囲気はもともとありました。
マンガの中で田口が言う通り、あの空気を面接の場できちんと感じ取って、入社を決める前にその違和感について深く考えていれば…….と、悔やまれるばかりです。
オフィスのエントランスや応接室、ショールームなどから読み取れる情報は、実は意外なほど多いのです。
リモート面接では、会社の質は見抜けない?
最近だと「面接はリモートが中心だから、なかなかオフィスの雰囲気が分からない!」という悩みを持つ人もいるかもしれません。
心配は要りません。オンラインでのリモート面接であっても、職場の雰囲気を読み取ることは可能です。
むしろ、オンラインだからこそ分かることも多くあります。
たとえば……
・面接開始時の「こちらの音声は聞こえていますか? 大丈夫ですか?」という配慮。
・お互いの状況を把握しづらいことを見越して、「ここまでの説明で不明な点はありますか?」といった念のための確認。
・面接の参加者は一人ひとり最初に自己紹介をしてくれるか? 全員カメラをONにしているか? カメラOFF&マイクOFFで監視員のような人が混じっていることはないか?
などです。
こちらが戸惑うような進行になっていないか、まずは違和感の有無を確認しましょう。
オンラインでの面接時、何らかの違和感や話しづらさがある場合、それは、その会社の普段のオンライン会議の様子にも通じているとも考えられます。
オフィスでの対面の面接であれ、リモート面接であれ、その場の雰囲気から読み取れる情報はたくさんあるので、注意して観察してみると良いでしょう。
『エンゼルバンク』(c)三田紀房/コルク
『エンゼルバンク』(c)三田紀房/コルク







