同じ東大生からも優秀すぎて「宇宙人」と尊敬される、定員約100人のレア集団、東大理三の謎に包まれた実態を、教育ジャーナリスト・庄村敦子が取材。本連載では、普通の大学生とはまるで違う学生生活、恋愛、家庭環境、お金の話などに加え、天才すぎて凡人には理解不能な奇人変人エピソード満載。激レアな天才たちの頭の中、人物像、おいたち、卒業後の進路など徹底解剖!(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・中村直子)

「東大理三」に執着した親子の悲劇…裁判沙汰に発展したワケPhoto: Adobe Stock

受験が人生を滅茶苦茶に! 裁判沙汰や傷害事件に発展したケース

「合格可能性のある人が受験するのはいいのですが、受かる見込みがまったくないのに、理三合格に固執する受験生もいます。『医学部合格保証』を謳っていた、私の経営する塾に通っていた生徒の保護者から、塾代返還訴訟を起こされたことがあります」

 和田秀樹さんは、2023年3月に判決が出て、その後和解した裁判を振り返ります。

「生徒の母親は、東大理三合格を強く願っていました。
 塾の指導でこの生徒の成績はそれなりに伸びたのですが、それでも理三の合格可能性はかなり低かった。そのため、私は合格可能性が高い大学も受験するように勧めました。

 ところが彼は自身の学力に合った大学は受けず、東大理三を含む超難関の4校だけを受け、全落ち。それで、母親から塾代の返還を要求されたのです。

『6年間通い続けて、どこの医学部にも受からなければ授業料を全額返金する』という保証ですから、私たちが勧めた大学が不合格なら塾代を返還したのですが……。

 結局、その生徒は浪人して、翌年も同じ超難関の4校は不合格。現役のときに私が勧めた大学に合格して進学しました」

 一審の判決は残念ながら敗訴。「学力に応じた大学を受験した場合のみ合格を保証する」などの注釈を記さなかったことが、和田さんの落ち度とされたのです。

 和田さんが控訴した二審は、不本意な形で和解しました。

「精神科医の立場からいうと、『東大理三合格』を強く願う親に育てられた彼は、強いプレッシャーを感じていたと思います。この生徒が進学した大学には現役でも合格できたと思うので、1年の時間が無駄になり、医師としての収入も1年分減りましたね。
 私もこれを機に受験塾はやめて、通信教育だけ続けています」

(本記事は、書籍『東大理三の世界 日本一の天才集団にみた謎すぎる生態』の一部を抜粋・編集したものです)