取調室写真はイメージです Photo:PIXTA

無実を訴え、黙秘を続けた元弁護士は、保釈まで250日間拘束された。

彼は検察官の行った取調べが違法だったと訴え、国家賠償訴訟を起こしている。一審、二審では人格や能力を否定する数々の発言について人格権の侵害が認められたが、黙秘権を行使した後も延々と続く取調べ自体の是非を問うため上告。今は最高裁の判断を待つ。

容疑を争う被疑者や被告人に、自白を引き出す目的で長期間の勾留を継続する行為は「人質司法」と呼ばれる。自らがその当事者になった元弁護士が、検察の執拗な取調べの様子、人生が転落していく恐怖、そして闘いの中で見出した希望を語った。(ライター 村田孔明)

突然の逮捕、ワゴン車で拘置所に移送……
まぶしいストロボの閃光を「まっすぐ見つめた」ワケ

 2018年のある日、弁護士だった江口大和さんの生活は一変した。

 当時、在籍していた法律事務所に横浜地方検察庁特別刑事部の検事たちが押し入った。2年前の交通事故をめぐり、関係者から聞き取りした書面を作成したことが「犯人隠避教唆」にあたるとされたのだ。

「当時所属していた法律事務所の代表であるボス弁から振られた案件でした。私は社長と従業員にお会いし、相談内容を整理するために書面にしただけ。正式な依頼は受けていませんし、ボス弁のお客さんからの紹介案件だったので謝礼もいただいていません。その後、2年たってから突然、検察に呼び出されました」

「もちろん、任意の取調べに応じ、私の覚えていることは全て繰り返して話しました。事故の背景は複雑ですが、私の知っていることは、1時間もあれば話し切れてしまいます。それでも、任意の取調べは計15時間にわたりました」

 江口さんは当時の状況をこう語る。

 しかし、疑いが晴れることはなかった。江口さんは逮捕され、ワゴン車で横浜拘置支所に移送された。その様子は大々的に全国ニュースの速報として流れた。