写真はイメージです Photo:PIXTA
EC市場の拡大とともに、通販コールセンターへのカスタマーハラスメント(カスハラ)も深刻になっています。ガイドラインの整備や対応マニュアルの導入など、企業側が対策を講じても、事態が改善されないどころか悪化するケースも少なくありません。本記事では実際の失敗例を基に、法的視点から企業と従業員が取るべき対応について、カスハラ対策に詳しい細井大輔弁護士に詳しく聞きました。(執筆/ライター 岩田いく実、監修/かける法律事務所 細井大輔弁護士)
通販コールセンターに届いた
「普通のクレーム」
婦人向け衣料品の通販を行うA社は、返品・交換などの相談に応じるためにコールセンターを設置しています。ある日一本の電話が入りました。発信者は佐々木(仮名)と名乗る女性でした。注文したジャケットが「ホームページで見た形と違う」というクレームです。
対応したのは入社2年目のオペレーター・松本さん(女性・仮名)。A社が導入したばかりの「カスハラ対応マニュアル」に従い、丁寧に事情を聞きました。写真と発色が違う、思っていた形と違ったという意見は日常的に寄せられるため、重いクレームではないと判断した松本さんは「ご不便をおかけしました」と謝罪し、交換対応を申し出ました。
これが誤算の始まりだったのです。
「あなたは前に電話で謝罪したわね」
謝罪が火に油を注いだ
交換品が届いた翌日、佐々木氏は再び松本さんへ電話をかけてきました。
「この商品も何だか品物が良くない。あなたは前に電話で謝罪したわね。お宅の会社の商品は最初から欠陥品だったと認めたということでしょう」
今度は30分以上にわたり、困惑する松本さんを責め続けたのです。「あなたみたいな対応をする会社は信用できない。謝ったということは非を認めたということ、交換と一緒に書面で謝罪文を出すべきだったわ」と厳しい口調で責めてきました。
ここで、松本さんは「大変申し訳ございませんでした。ご不満はよくわかりますが、謝罪文の発行は行っておらず……」と告げてしまったのです。







