「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』で、「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。
「動けない自分を責めてしまう人の共通点」とは?​ ライター照宮氏がレポートする。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

動けない自分をつい責めてしまう人の思考グセ・ワースト1Photo: Adobe Stock

覚えられない単語と迫ってくる出発日

インドネシアで働くことが決まったとき、出発まで1か月しかなかった。
すぐにインドネシア語の文法書と辞書を買い、勉強を始めた。

インドネシア語は簡単だと聞いていた。時制がなく、ローマ字読みができる。とはいえ、新しい言語はまったく頭に入ってこない。ページを開くたびに「これを全部覚えられるわけがない」という気持ちになってしまう。焦りだけが日に日に重くなっていった。

完璧にしようとするほど動けなくなる理由

頭の使い方ひとつで成果が変わることを身をもって証明してきた木下勝寿氏は、著書『地頭スイッチ』の中でこう述べている。

「目的逆算思考」では、「目的・目標が達成できさえすればいい」という状態にまで条件を緩めます。これまでのように答えは自動的には出てきません。
(中略)
だからこそ、「答えの条件」から「答え」を自分の頭でジャンプアップさせる必要があります。

――『地頭スイッチ』より

とりあえず、日常生活で簡単なことが伝えられさえすればいい。
そう切り替えてみると、やることが絞れた。
YouTubeでインドネシア語の初心者向けコメディドラマを見つけ、使えそうなフレーズだけ覚えていった。文法書だけではわからない、現地の慣習もドラマを見ているうちに染み込んでいった。

現地に着いてからは、渋滞で暇なタクシーの運転手が毎回話しかけてくれる。その場その場で使いながら覚えていくという繰り返しが、一番の教材になった。

思考の起点を変えよう

何かに着手できないとき、目的ではなく条件に縛られていることがある。
その条件は、本当に必要なものなのか。目的まで立ち返ると、手放していいものが見えてくる。条件を緩めることと、あきらめることは違う。
本書を読み、動けない自分を責める前に、設定している条件を疑ってみようと思った。