「考える力のある子になってもらいたい」と、子を持つ親なら誰もが思うはずだ。しかし、子どもに自発的に「考える練習」をしてもらうことは難しい。そこで今、多くの親が子どもに買い与えている本がある。Google、Apple、Microsoftなどの採用試験でも出題され、考える力を鍛えるトレーニングしても注目される「論理的思考問題」を紹介した本だ。「本を読まないうちの子が熱中している」との声も殺到する同書から、1問を紹介しよう。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

「考える力のある子ども」の親が買い与えている、1冊の本Photo: Adobe Stock

「ちゃんと考える力」を高める練習とは?

「考える力を高めたい」

そのために最適な「練習」があります。

それが、論理的思考問題です。

知識や難しい計算は必要とせず、問題文を読んでじっくり考えれば、誰でも答えを出せる。
まさに「ちゃんと考える力」だけが問われる問題です。

そのため、小学校や中学校の受験問題としても出題されています。

矛盾のない真実を導けるか?

たとえば、こんな問題です。

3人の村人
あなたの前に3人の村人がいる。
1人は天使、1人は悪魔、1人は人間。
天使はかならず真実を言い、悪魔はかならず嘘をつき、人間はランダムに真実や嘘を言う。
3人の村人(A,B,C)は次のように言った。

A「私は天使ではない」
B「私は悪魔ではない」
C「私は人間ではない」

それぞれの村人たちの正体は?

「考える力のある子ども」の親が買い与えている、1冊の本
――『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』より(イラスト:ハザマチヒロ)

いつも本当のことを言う「天使」と、いつも嘘をつく「悪魔」。
彼らが登場するこの形式は「天使と悪魔のクイズ」とも呼ばれ、さまざまな類問が存在します。

はたして、3人の正体とは?

1人ずつ順を追って、発言に注目して考えてみましょう。

仮定から考えてみよう

論理的思考は、ひとつずつ可能性を検証し、正しい結論へたどり着くための考え方です。そのため基本となるのは、「もし○○だったら?」と仮定し、その結果に矛盾がないかを確かめること。

そこで、「Aが天使だったら」「Aが悪魔だったら」というように順番に仮定し、矛盾が生じるものを除外していきましょう。

ただし、少し厄介なのが「人間」です。
人間は真実を言うこともあれば嘘をつくこともあるため、発言だけでは判断できません。そのため、人間は最後に消去法で決めるのが効率的です。

まずは、必ず真実を話す天使と、必ず嘘をつく悪魔について考えていきましょう。

まずはAの正体

最初に、Aが天使だったと仮定します。
すると、「私は天使ではない」という発言は真実になります。
つまり、Aは天使ではないことになります。

しかし、最初の仮定ではAは天使でした。
矛盾が生じるため、この可能性はありません。

では、Aが悪魔だった場合はどうでしょう。
悪魔は必ず嘘をつくので、「私は天使ではない」は嘘になります。
つまり、本当は天使ということになります。

これも「Aは悪魔」という仮定と食い違います。
したがって、Aは悪魔でもありません。

残る可能性は一つだけです。
Aは人間です。

Bの正体は?

続いて、Bを考えます。

Bが天使だとすると、「私は悪魔ではない」という発言は真実です。
これは仮定と矛盾しません。

では、Bが悪魔だった場合はどうでしょう。
「私は悪魔ではない」は嘘になります。
つまり、Bは悪魔ということになり、こちらも矛盾はありません。

つまり現時点では、Bは天使とも悪魔とも考えられます。

この段階では、まだ結論を出せません。

Cの正体を考える

Bだけでは判断できないため、今度はCを見てみましょう。

Cが天使だったと仮定すると、「私は人間ではない」は真実になります。
これは「Cは天使」という仮定と矛盾しません。

一方、Cが悪魔だったとすると、この発言は嘘になります。
すると、Cは人間ということになります。

しかし、それでは「Cは悪魔」という仮定と食い違います。

したがって、Cは天使でしかありえません。

すると、残っているBは悪魔だとわかります。

正解
A:人間 B:悪魔 C:天使

可能性を整理しながら不要なものを除いていく

シンプルな問題ですが、論理的思考の基本がよく表れています。

大切なのは、「もし○○だったら」と仮定し、その結果に矛盾がないかを一つずつ確認していくことです。

思いつきで答えを決めるのではなく、可能性を整理しながら不要なものを除いていく。この積み重ねが、論理的に考えるための基本になります。

また、この問題では、真実も嘘も言う可能性がある「人間」は、最初から無理に判断しないこともポイントでした。

まずは確実に判断できる情報を使い、不確定な要素は後回しにする。この考え方も、論理的思考では非常に重要です。

(本稿は、野村裕之著『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』の内容をもとにしたオリジナルの記事です)