米国株は本当に割安か、基準次第で異なる「見え方」Photo:Spencer Platt/gettyimages

 ウォール街のプロたちは、S&P500種株価指数構成企業の利益が今年、そしてそれ以降も力強く拡大すると見込んでいる。だが、その根拠となる数字には問題がある。数字が大きく歪められていることが多いからだ。

 一般投資家にとってそれが重要なのは、市場が割安なのか、それとも割高な水準にあるのかに関する見方に直接影響を与えるからだ。具体的に言えば、それば株式のバリュエーション指標として最も頻繁に用いられる株価収益率(PER)に影響を及ぼす。過去4四半期の純利益を基準にすればPERは約29倍になり、割高感がぬぐえないように見えるかもしれない。

 しかし、ウォール街のアナリストらは何らかの代替的な利益指標に投資家を誘導しがちだ。アナリストによる2026年の予想利益に基づけば、S&P500指数のPERは約22倍になる。しかも、アナリストは株式報酬やリストラ費用といった定期的に発生する現実のコストを無視しており、PERの数字には反映されていない。

 これが混乱を招くように見えるとすれば、まさにそこが問題だ。投資家はS&P500指数構成企業の業績について、過去の利益なのかそれとも将来の予想利益なのか、公式な数字かそれとも非標準的なものなのか、さまざまな皿が並ぶビュッフェの前にいるような状況に置かれている。どの数字を選ぶかによって、利益が急拡大しているようにも、成長ペースが緩慢であるようにも見える。もし急成長を遂げているとすれば一般的にPERも高くなる。利益が急速に伸びていれば、投資家はPERの高さを積極的に受け入れようとするからだ。しかし、何を基準にするかについて見解が異なれば、成長を過大に見えてしまうこともあり得る。