米会員制量販店コストコでレジ係として働くトニー・バザーさんは弁当を休憩室に置くと、出勤時間を記録してレジに向かった。この一連の流れはほぼ40年間、変わっていない。いつものようにこの日も、60歳のバザーさんは6台のレジが並ぶセルフレジのコーナーを任された。午前9時2分、最初の買い物客たちが会計を始めようとしていた。「お客様、こちらにどうぞ」。バザーさんは列に並んでいた女性客に向かって、空いているレジに進むよう身振りで促した。「こんにちは。お探しの品は全て見つかりましたか」。バザーさんはハンドスキャナーを手にレジを回りながら、男性客にそう話しかけた。バザーさんのように勤続年数が長い従業員は、コストコの秘密兵器だ。同社の幹部によると、こうした従業員は信頼できて経験も豊富なうえ、会計待ちの客を素早くさばくこともできる。経験が浅い従業員に対しては、指導役として会社独自の文化を伝える役割を果たしているという。