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毎日遅くまで残業し、誰よりも熱心に仕事を頑張っているように見える若手を高く評価している管理職は多い。しかし、その評価は適切なのだろうか? 815社のビジネスパーソン17万人の行動記録と人事評価データを分析してわかった、各社が「本当に評価している人たち」の意外な特徴を明かそう。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)
「残業して頑張る人」を評価するのは逆効果
毎日遅くまでオフィスに残り、誰よりも長く机に向かって仕事をしている若手社員がいる。
「遅くまで残って、本当によく頑張っている」
「仕事に対する熱意やコミットメントが素晴らしい」
遅くまで粘る泥臭い姿勢を「努力の証」として高く評価し、引き上げたくなる上司は多い。
だが、ここには大きなデメリットが隠されている。
夜遅くまでだらだらと作業を続けている若手ほど、目先のトラブルや突発的な業務の火消しに追われ、本質的な業務に集中できなくなっていることが多い。
そのまま昇進させると、効率の悪い働き方をチーム全体に伝染させ、メンバーを次々と燃え尽きさせてしまう。
「時間をかけて成果を出すやり方」しか知らない人が、「限られた時間で成果を出す方法」を知るはずがないからだ。
結果として、チームは疲弊し、勤務時間や残業代だけが増え、生産性は一向に上がらないという事態を招きかねない。
「本当に評価すべき若手」の共通点
では、実際に評価されているのは、どんな人たちなのだろうか。
815社のビジネスパーソン17万人の行動記録と評価データを分析したところ、意外な結果が見えてきた。
評価が高く、組織から将来を「期待されている人」たちは、夜遅くまで粘るのではなく、朝の「時間」を賢く活用していたのだ。
調査の結果、期待されている人たちの約4割は朝早く出社しているとわかりました。
具体的には、始業が9時である場合、彼らの32%が午前7時48分から8時35分の間にオフィスに到着していました。ちなみに、一般社員の中で就業開始時間の30分以上前に出社する人の割合は約10%でした。
さらに興味深いのが、朝早く出社する人たちの中にも、じつは夜型の人が3割程度存在していることです。「私は夜型だから、朝よりも夜に仕事する方がはかどるんだ!」という人もいるでしょう。ですが期待されている人たちは、自身の体質とは関係なく、早く出社することを心がけていたのです。
――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』(越川慎司 著)より
調査によると、朝早く出社するのは朝の爽快感や健康のためではないようだ。
彼らが求めていたのは、周囲のノイズに邪魔されない静寂に包まれた集中時間だ。
そして、その時間である能力を高めていた。
25社で比較実験をおこなった結果、始業40分前に出社するグループは、5分前に出社するグループと比べて時間生産性(納期遵守率÷時間外を含めた総労働時間)が平均31%高かったのです。一般の人より作業時間が少ないのに、報告書や企画書などの提出が期限内ということです。
彼らは朝の静寂時間に集中して重要タスクに取り組むことで業務処理能力を高めていたのです。
――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』(越川慎司 著)より
「長時間労働」より評価するべきは、「中長期の視点」
「早く会社に来るだけで能力が高まるわけがない」
そう思うかもしれない。
だが、実際に当事者たちは、自身の成長を実感しているようだ。
朝の無人オフィスで静かに考える時間を持つことで、目先の業務に追われがちな思考から脱却し、冷静で的確な判断をする習慣を身につけているようです。
それによって、3か月先、1年先を見据えた判断ができる戦略的思考力の向上につながっています。
実際、早朝出社を習慣化した人の78%が「中長期的な視点で物事を考えられるようになった」と回答しています。
――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』(越川慎司 著)より
本人が成長を実感していることは、とても重要だ。
それが、さらなる向上心やモチベーションにつながる。
目の前のタスクをただこなすことに時間を消耗する人は、管理職になっても「重要だが緊急ではない課題」を後回しにし、チームを迷走させてしまう。
上司へのアピールのために夜遅くまで残って時間を切り売りする人ではなく、中長期的な視点で冷静に自分の仕事と組織の未来を見極められる若手。
それこそが、次の組織を牽引するリーダーとして「本当に評価すべき存在」なのである。
(本稿は、越川慎司著『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』の一部を引用したオリジナル記事です)
株式会社クロスリバー 代表取締役社長
日系通信会社や外資ベンチャーなどを経て2005年にマイクロソフト米国本社へ入社。その後、日本マイクロソフトの役員としてExcelやPowerPointなどの事業責任者を務める。2017年には週休3日・複業を実践する会社、株式会社クロスリバーを設立し、800社以上の働き方改革を支援。年300回以上提供する企業向けオンライン講座の受講者満足度は平均96%、行動に移す受講者は95%以上。著書は『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)や、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など33冊、累計130万部。NHK、TBS、テレビ東京、PIVOT、NewsPicksやReHacQなどメディア出演多数。








