株を売買するとき、「指値注文」と「成行注文」をなんとなく使い分けていないでしょうか。注文の仕組みを正しく理解すれば、希望する価格で買える可能性を高めたり、想定外の高値づかみを避けたりできます。この記事では、2000億円超を運用した元ファンドマネジャーで、楽天証券の窪田真之さんが、板情報の見方と注文の出し方をわかりやすく解説します。

【株のプロが教える】株を買うときに損しない「指値注文」の使い方Photo: Adobe Stock

「指値注文」の色々な出し方

 株式を売買する時の注文の出し方は、いろいろあります。最もよく使われるのが、指値注文成行注文です。この2つの注文方法をしっかり理解して、適切に使い分けられるようにすることが大切です。

 指値注文とは、「銘柄」「価格」「株数」を指定して「買い」、または「売り」の注文を出す方法です。

 たとえば、取引時間中、801円の株価がついているA社株に対し、以下のような指値注文が入っているとします。

板情報の例:株価は801円板情報の例:A社の現在の株価は801円

 板情報とは、売買注文の入り方を示すものです。

 A社に入っている売り指値注文は、801円に9,200株802円に12,500株803円に13,200株です。

 また買い指値注文には、799円で2,300株798円で5,200株797円で8,400株が入っています。

 ではここでA社株を買うための指値の入れ方を考えてみましょう。注文の入れ方は5通りです。

買い注文の入れ方① 下値に買い指値を入れる

 A社株を買おうとする時、「797円で100株買い」のように、現在値よりも下に、買い指値を入れることができます。

 ただし、その場合は、株価が797円まで下がらないと、買えません。

 また、株価が797円まで下がっても、すぐに買えるわけではありません。先に入っている買い指値注文8,400株がすべて約定した後、さらに797円で売り注文が入れば、その時、797円で買えます。

 もっと早く買いたい時は、どうしたらよいでしょう?

買い注文の入れ方② 先頭に買い指値を入れる

「800円で100株の買い」というように、今、見えている買い指値よりも上に買い指値を入れることもできます。

 こうすれば、800円以下の売り注文が入った時に、最初に約定します。ただし、800円以下で売る注文が入らないと、買うことはできません。

 すぐに買いたい場合は、どうしたらよいでしょう?

買い注文の入れ方③ 売り指値のあるところに買い指値する

「801円で100株の買い」と、今、売り指値が入っているところに、買い指値することもできます。場にある指値注文が変わらなければ、801円で100株買えます。

 ただし、一瞬先に、801円以上で9,200株以上買い注文が入ってしまうと、801円の売り指値はなくなりますので、買うことはできません。その場合は、「801円で100株の買い指値注文」として、場に残ります。

 より確実にすぐ買いたい場合は、どうしたらよいでしょう?

買い注文の入れ方④ 上値に買い指値を入れる

「803円で100株の買い」というように、上値に指値を入れることもできます。場にある指値注文が変わらなければ、801円で100 株買えます。

「803円で買い指値したら、803 円で買えてしまう」と勘違いしている人もいます。803円の買い指値注文とは、正確に言うと、「803円以下の最も有利な価格で買う」注文です。

 801円に売り指値があれば、801円で買えます。801円に買い指値するのと、結果は同じです。

 それでは、801円ではなく、あえて803円に買い指値する意味は何でしょう?

 一瞬先に801円や802円の売り指値を買われてしまった時でも、803円で買うことができるということです。

 買いシグナルが出てすぐ買いたい時は、指値ではなく、成行注文を入れるべきです。

買い注文の入れ方⑤ 成行で買い注文を入れる

 確実に100株買いたければ、指値ではなく、成行の買い注文を入れるべきです。

 成行で買いを出せば、その時点で場に出ている指値売り注文のうち、一番安いものにヒットし、即座に買いが成立します。

 A社の板が変わらなければ、801円で100株買えます。

とんでもない高値買いを避けるには、「上値に指値」

 買いシグナルが出ている銘柄には成行で買いを入れるべきですが、成行注文には欠点もあります。

 以下のような板の時には要注意です。

売り注文が少なければ、売り指値がすべて取られて、株価が急騰することもある売り注文が少なければ、売り指値がすべて取られて、株価が急騰することもある

 高速取引が普及している今日、一瞬先に大量の成行買いが入って、板に出ている安値の売り物が先に全部取られてしまうこともあります。

 798円に12,600株もの買い注文が入っています。一方、売り指値は少ししか入っていません。

 下値の買い注文の一部が成行に変わると、見えている売り指値はすべて取られて、あっという間に、株価が急騰することもあります。

 そうなると、一瞬後に入ったあなたの成行買い注文は、とんでもない高値で買わされることになります。

 804円までならば買いたいが、それ以上、高値では買いたくないならば、成行ではなく804円に買い指値を入れるべきです。

 運よく板が変わらなければ、801円で買えます。801円の売り物が先に取られても、804円の売りが残っていれば、804円で買えます。

 そこまでの売りがすべて取られてしまえば、あなたの注文は約定せずに、場に残ります。

 (本記事は書籍『2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ』の一部を抜粋・編集したものです)