
やっぱり名乗り合えない
脈が少し早いので、一度病院に行くようすすめる直美。今度は逆に、文が直美に教えてもらって直美の脈を測ってみる。
脈は子どものときは早く、大人になるに従ってゆっくりになると直美が語る。
「生きてる証しですね」
ドクドクドク……実の娘のやわらかな腕の内側に触れ、脈動(今週のサブタイトル)を感じたとき、文は何を思うのか。動揺したように、「わからなくなってしまって」と手を離す。
真実を明かせない母と子、お互いの緊張を脈拍で視聴者に感じさせるのと、かすかに手と手が触れあっていることがエモい。
病院では、内科教授・木村(前野朋哉)と安達タマ(川島鈴遥)が患者の話をしている。お金がないので入院できないらしい。
それを聞いた直美は、内科教授でそれなりに地位があるのだから、方法を考えたらどうかと意見する。そうねえとのらくら交わす木村。
見かねたタマが、患者の近くにいい町医者がないか紹介してもらったらと口をはさむ。
ヒデ(池田朱那)はすぐに辞めたがタマはまだ頑張って病院に残っているようだ。この会話から察するにタマのほうは揉め事を避けるタイプのように感じる。
ほんとそれで。『風、薫る』の世界には町医者は存在していないのか。庶民を助ける町医者の物語はみんな大好きなのに。
休日の日、吉江(原田泰造)が直美を訪ねてきた。直美は連日の病院と文の看病で疲れて寝ていた。寛太から直美の話を聞いてきたという。
吉江は環(英茉)にも丁寧語。吉江は寛太から、直美の母らしき人が見つかったと聞いて、心配して訪ねてきたのだ。母と名乗ってはもらえなかったと聞いたときの、吉江の表情。
「本当にそれでいいんですか?」
吉江は核心を突く。まるで訪問懺悔室のようである。
「本当は言いたいことたくさんある」
直美は抑えていた心情を吐露する。







