「人生の意味とは何か」。ジェームズ・ベイリー著『人生の意味――世界のあらゆる一流に教えてもらった105の答え』では、誰もが一度は考えるこの問いに、世界の著名人105人からの答えを紹介してる。その中でも、何度も死の淵を経験したパラリンピック金メダリスト、デイヴィッド・スミスの答えは、私たちの心に深く響く。人生の意味は、案外、ありふれた日常の中にあるのかもしれない。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)

「人生の意味とは何か?」人生の見え方が一変する答え・ベスト1Photo: Adobe Stock

「自分自身の人生の意味」を考える

 私たちは「なぜ生きているのか」という壮大な問いを抱え、生涯を通じて答えを探し求めるものだが、ジェームズ・ベイリー著『人生の意味――世界のあらゆる一流に教えてもらった105の答え』にあるデイヴィッド・スミスの答えは、私たちの心に響く、納得のいく1つの答えを提示してくれる。

 デイヴィッドは、パラリンピックのボート競技金メダリストであり、がんサバイバーでもある。

 彼は何度も死の淵をさまよい、自らの肉体の限界や麻痺と向き合う中で、生物学的な役割や「種の維持」という大きな目的からあえて視点を外し、一人の個人としての意味を問いかけた。その葛藤の末に辿り着いたのが、次の言葉だ。

 動物界では、パートナーを見つけ、生殖し、子孫を残すことによって、種が維持されます。原人のホモ・エレクトスや旧人類のネアンデルタール人にまでさかのぼれば、生存と生殖、種の存続が、人生の意味だったでしょう。
 でも進化について考えるうちにふと思ったんです。もし人生の意味が生殖と人類の存続だけだったとしたら、僕の存在意義は何だろう、と。
 だから、生命全体を見てホモ・サピエンスが地球上に生きている意味を考えるのはやめて、「デイヴィッド・スミスの人生の意味は何か?」を考えることにしました。――『人生の意味』より

エゴを手放したら見えてきたこと

 栄光や外部からの称賛に駆り立てられる「エゴ」を捨て去り、身体的なアイデンティティさえも手放した彼が見出したのは、「今この瞬間」をただ生きることの喜びだった。

 麻痺を経験し、一歩を踏み出すたびに「今」を意識せざるを得ない体になったからこそ、彼の視線は究極のシンプルさへと至った。

 僕自身は、自然のなかで過ごし、社会に貢献し、人々に勇気とやる気を与え、スポーツをし、体を動かすことが好きです。これが全部できたときに、幸せを感じます。
 死にかけていることを自覚すると、朝、目を覚ますことができただけで深い感謝の気持ちを覚えます。
 ありがたいことに日の出を見ることができ、うまくいけば日の入りも見られるでしょう。そんなとても単純なことに安らぎと充足を感じます。
 スキーの超難関コースを滑り降りなくても、ただ起きてコーヒーを味わうだけでうれしいんです。――同書より

 人生の意味は、必ずしも何か偉大な業績を上げることではない。

 朝目を覚まし、日の出を眺め、一杯のコーヒーを味わうといった、ありふれた日常に深い感謝と安らぎを見出すことにあるのかもしれない。