「合わない相手」とどう折り合いをつけてやっていけばいいのか。
2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏が、実際に職場に分け入って考えた、組織変革のコツを伝えます。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
合わない人とも関わらなければいけない
プライベートな場面であれば、「合わない相手とは関わらない」「同じような価値観の人とだけ付き合う」ということも可能でしょう。
趣味の習い事なら、気が合わなかった人は辞めていくでしょうし、辞めても別の場所を探せばいい。
ですが、会社だとそうはいきません。
つまり悲しいことに、組織で働いている以上、「合わない相手」を避けて過ごすことは不可能ということです。
「応答する」だけでいい
そこで大事にしたいのは、相手のことをよくよく「観察」すること。別に相手を受け入れなくてもよいので、ただただ「受け止める」ことです。
それは、「正しいことを言う」より、よっぽど効果があったりします。
多くの人はつい、目の前の相手をきちんと見ないまま、自分が思っている「正しさ」に従おうとしてしまいます。
それは、小さい頃から答えがある問いばかり解いてきた弊害で、人とのコミュニケーションにおいても「正しい答え」がどこかにあると思わされてきたからです。
何か「答えめいたもの」を言ったほうが有能だとみなされて評価を得やすいですし、心情的に、答えがない宙ぶらりんな状態に耐えきれない、というのもあるでしょう。
正解は誰にもわからない。
でも、まずは相手に対して「応答」する。
この心がけだけで、現状がぐっとシンプルになります。
苦手なところも補完し合えるかもしれない
現に、私も類型の異なる方と二人三脚で仕事をしていたことがありました。
私は、
・ 概念レベルの話が得意
・ 細かな作業や手続きは苦手
・ 「すごい、テッシーさんがいたからできました」と言われると木にも登るよ
というタイプ。
そして当時一緒に働いていたOさんは、
・ ひとりでじっくり「神は細部に宿る」とばかりにこもって作り込む
・ 他人からの評価よりも自分の納得感が大事
・ 「感じよくしても業務上意味なくない?」と思って、笑顔は少なめ
というタイプでした。
持ち味は異なる2人ですが、仕事はうまくいきました。
共に目的が明確で、論理的なアプローチを好みます。お互い、他人にはさほど興味がないので、感情的な衝突が起きることもありません。
私にとっては、安定してストイックな仕事をしてくれるOさんはすごく頼りになる存在。まさに、「自分の苦手なところを補完してくれる相手」でした。
「自分と似てないから、うまくいかない」と決めつけると、うまくいくものもうまくいきません。
どう組み合わせるか次第、なのです。
まだ見ぬ景色は「肯定」から始まる
相手のことを「合わない」と切り捨ててしまうのは簡単です。
ですが意見がすべて一致していて予測可能な範囲において、独創的な事業や商品、サービスは生まれるでしょうか。
周りを蹴落とし部下をイエスマンで固めたところで、おそれられ、忖度されるだけです。愚痴で未来は変わりません。
社会は、はなから多様です。その多様性を捨象せず、承認し合った先に、多様性からの連帯や、合意形成が存在します。
つまり、相手との違和感をほぐすことは、自分も相手も肯定すること。そこから「まだ見ぬ景色」が始まります。
「最初はどうなることかと思ったけど、持ち味を持ち寄ってみたら大成功だった」
「何度も向き合い、あきらめないでいてくれたから、今までにないものができた」
そんな関係も原点は「組織の違和感」だから、おもしろいのです。
忙しいリーダーに、効果のあることだけ
発売5日で大重版!
その後たちまち、2万7千部突破!!
とっても売れてます!!!

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太