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日本の防衛産業は、工業生産額の1%未満という極めて小さな規模で、大企業の一部門として埋もれています。防衛需要依存度は平均4%、中には1%以下の企業もあり、調達が途絶えても企業全体への影響は軽微です。一方で、装備品を支える数千社の中小企業は民需に転換できず、技術者や設備を守るために苦しい資金繰りを続けています。日本の安全保障を支える基盤は、静かに、しかし確実にやせ細ってきているのです。※※本稿は、桜林美佐『軍産複合体:自衛隊と防衛産業のリアル』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

大企業のニッチな一部門

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 それでは日本の防衛産業は今どのような状況にあるのか、防衛産業の健康診断をしてまいりましょう。まずは身長・体重に相当する基礎情報から。

 日本の工業生産額に占める防衛省向け生産額の割合は1%以下です。そして、令和2年度の防衛関連調達額は約2.5兆円とのことでした。トヨタ自動車など、数兆円もの利益を上げている企業があることを考えれば、調達額がこの程度の規模にすぎない防衛産業がいかに地味な産業分野であるかお分かり頂けるかと思います。

 防衛産業の主な企業は、諸外国のような防衛専従ではなく、大企業の一部門です。そこで、防衛装備品を担っている構図です。つまり、正確に言えば日本に「防衛産業」は存在せず、「企業の防衛部門」がそれに該当するということです。

 各企業における防衛事業の割合、つまり防衛需要依存度(防衛関連売上/会社売上)は平均で4%程度だとされています。中には1%以下の企業もあり、いずれにしても社内の存在感は小さいと言わざるを得ません。つまり、仮に防衛省からの調達がなくなって防衛部門が干上がったとしても、その会社全体にとっては大きなインパクトにはならず、大して痛くもない、ということです。

 さらに言えば、大手企業にとって防衛分野は「あまり目立って欲しくない」事業部門です。例えばエアコン大手のダイキンや建設機械大手のコマツは弾薬を製造する防衛産業でもありますが、IR(投資家向け広報)などでそうしたことを強調することはあまりないようです。大手企業のほとんどが民生品の製造・販売で利益を上げており、そちらの事業こそが本業です。防衛事業は余力で行っているに過ぎず、メインの民生品事業が順調であることが、会社の経営陣にとっても投資家にとっても最も大事だからです。

 余談ですが以前、家電セールで三菱重工のエアコンとダイキンの空気清浄機の「お得なセット」を見つけたことがありますが、この両社が日本の戦車と戦車砲弾を製造しているメーカーだと知っている人は極めて少数派でしょう。