子どもの成長のために、習い事や旅行など、さまざまな体験をさせたいと考える親は多い。しかし、子どもの力を伸ばすのは、特別な体験だけではない。毎日の生活の中で「自分でやってみる」経験を積み重ねることも、自立には欠かせない。では、親はどのように子どもの成長を支えればよいのだろうか。話題の書『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』から、そのヒントを紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「夏休みの“体験格差”を気にする親」が見落としがちなこと・ワースト1Photo: Adobe Stock

実は子どもの成長の機会を奪っている

「もしかすると、私は息子の“練習の機会”を奪っていたのかもしれません」
年長の息子を育てる知人から、こんな話を聞いた。

パックジュースについているストローを、ビニールから取り出せないとき。
息子さんは何も言わず、ストローを知人に差し出してくるという。

すると知人も、何の疑問も持たずに袋を開け、ストローを渡していた。

「自分でやってみたら?」と促すこともなければ、「開けて」と言葉で頼ませることもない。
息子さんにとっては、困ったら親に差し出せばやってもらえるのが、いつの間にか当たり前になっていたそうだ。

知人はこれまで、息子さんにはできるだけ多くの経験をさせたいと考えてきた。

教育費をかけ、いくつかの習い事に通わせ、旅行にも連れていく。
さまざまな経験を与えることが、子どもの世界を広げ、成長につながると思っていたという。

もちろん、そうした経験にも大きな意味がある。

しかし、どれだけ特別な経験をさせても、日常生活のなかで親が何でもやってしまえば、子どもは自分で考え、試し、できるようになる機会を失ってしまう。

子どもをきちんと育てるというのは、お金をかけて特別な経験をさせることだけではないのかもしれません。ストローの袋を開けるような小さなことを、自分でやらせるのも大切なんですよね」と知人は話していた。

小さなことから自分でできるようになろう

小学校入学前後に身につけておきたい93のおやくそくを収録した『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』には、「いろいろな ふたを あけてみよう」という項目がある。

そこでは、子どもが自分でふたを開ける方法を、次のように紹介している。

「夏休みの“体験格差”を気にする親」が見落としがちなこと・ワースト1『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用
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<はがすふたのとき>

・かたほうの てで カップを しっかり おさえよう。
・もう かたほうの てで ふたを つまんで はがそう。

<ひねるふたのとき>

・ふたの したの かたい ぶぶんを てで つかむよ。
・もう かたほうの てで みぎに まわして あけよう。

(『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用)

夏休みになると、旅行やレジャーなどの「体験格差」が気になる親も多いだろう。
もちろん、特別な体験は子どもの世界を広げてくれる。

しかし、子どもの成長を支えるのは、お金をかけた体験だけではない。
ふたを開ける、朝ごはんを自分で準備する、バスに一人で乗る。
もしできないことがあれば、助けを求める。
そんな日常の小さな挑戦も、子どもにとっては大切な経験である。

体験の「量」や「豪華さ」を気にする前に、親が身近な練習の機会を奪っていないかを振り返る。
そのほうが、子どもの自立につながるのかもしれない。

(本稿は、『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』の発売を記念したオリジナル記事です)