「レベルが高い職人がいる店」の共通点
――職人の腕は、どこに表れるのでしょうか。
鰻は工業製品ではなく生き物なので、同じ産地やブランドでも、その日の状態や個体によって質が違います。優れた職人は、身や脂の状態を見て、蒸し時間や焼き加減を細かく変えます。
店によっては、営業前に試食し、「今日は出せる品質か」を確認し、納得できなければ仕入れ先へ返すところもあるそうです。ブランド鰻でも、職人の技術が伴わなければおいしくなりません。価格の高さと味は、必ずしも比例するものではないのです。
――店に入ってから分かることはありますか。
調理場が見える店は、信頼できます。割きや焼きの仕事を客に見せられるのは、仕事への自信の表れとも考えられるからです。ただし、オープンキッチンなら必ずおいしいという意味ではありませんし、大きな店や調理場が見えない店でも、いい仕事をする店はあります。あくまで判断材料の1つです。
もう1つは、店内の空気です。私が経験上「期待できる」と感じる店には、うっすらと川魚の香りがします。
入り口付近まで整理整頓され、段ボールなどが雑然と積まれていない。こうした清潔感も、調理の丁寧さとも無関係ではないと思います。
食べたときに分かるのは、口当たりです。おいしい鰻を出すお店では、3たて(割きたて、蒸したて、焼きたて)にこだわります。注文後に割き、蒸し、焼くことに加え、店によっては小骨をピンセットで一本ずつ取ります。
そこまで手をかけた蒲焼は、身がしっとりして骨が気になりにくく、タレやご飯との一体感もある。レベルの高い職人ほど、見えない下仕事を積み重ねています。
食べる前に「ハズレの鰻屋さん」を見抜く方法
――初めての店を探すとき、最初に何を見ますか。
私は出先で鰻屋さんを探すことが多いです。その際はGoogleマップで近くの店の候補を出し、まず投稿写真を見ます。
そこでチェックするのは、蒲焼の表面がパサついていないか、身に厚みがあるか、焼き加減やタレのかかり方はどうかといった点です。さらに、重箱に対して蒲焼がきれいに収まっているかも見ます。
ある職人さんの話では、重箱にぴったり合うように仕上げるのも技術の一つだそうです。もちろん半身メニューならご飯が見えて当然ですが、同じ価格帯や同じ量のメニュー同士で比べると、写真から店の仕事ぶりが見えてきます。
実際に店の前まで行けるなら、入り口周辺の整理整頓や清潔感も確認します。店の「表側」が雑然としていないかどうかも、候補を絞る材料になります。
――口コミでは、どんな言葉を探せばいいでしょうか。







