人生を振り返ったとき、「もっと早くやっておけばよかった」と後悔することは、できるだけ避けたいものだ。老後の後悔というと、お金や健康、人間関係を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、それ以外にも人生を通じて大きな後悔につながりかねないことがある。本記事では、習慣本の超決定版『あきれるほど小さい習慣』をもとに、「誰もが老後に後悔すること」について解説する。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

誰もが「老後に後悔する」こと・ワースト1Photo: Adobe Stock

あなたが「後悔」しそうなことは何ですか?

 年齢を重ねた人から、こんな言葉を聞くことがある。

「もっと早く始めればよかった」
「あのとき、やってみればよかった」

 老後の後悔というと、あなたは何を思い浮かべるだろうか?

「私には向いていないから」と言い切る人

 以前、定年を迎えた知人と話していたときのことだ。

 若い頃、海外で働くことに憧れていたという。
 しかし、英語が得意ではなかった。

「英語ができない自分には無理だと思ってたんだよね」

 そう考えているうちに、結婚し、子どもが生まれ、仕事でも責任ある立場になった。
 気づけば、海外で働くことを考えることすらなくなっていたという。

 その人は、こう話していた。

「できるかどうか、一回くらい試してみればよかったんだよ。英語だって勉強すればよかった。でも最初から『自分には無理』って決めちゃったから」

 できなかったことより、「できない」と決めて何もしなかったこと
 そのほうが、後になって心に残ることがある。

私たちは、本当に「できない」のか?

『あきれるほど小さい習慣』には、こんな話が登場する。

あるサーカスに、1頭のゾウがいました。
本来、ゾウは、大木でも引き倒せるほどの力を持っています。
しかし、サーカスのゾウは、小さな杭(くい)と細い鎖(くさり)につながれたまま、大人しくしています。
なぜ逃げないのでしょうか。
このゾウも、初めて鎖につながれたときは、必死に抵抗しました。
けれど、幼いときの力では、どうしても鎖を断ち切ることができません。(中略)
そのうち、ゾウはこう思うようになりました。
「自分に、この鎖は外せない」そう思い込んだまま成長し、本当は鎖を外せるほどの力をつけていても、もう引っ張ろうとはしません。
力がないから、抵抗しないわけではありません。
「自分にはできない」と思い込んでいるから、逃げようとすらしないのです。(中略)
これは、人も同じです。
過去の失敗や、うまくいかなかった経験。そして誰かに否定された記憶。
こうした体験が積み重なることで、「自分にはできない」「また失敗するかもしれない」という思い込みが生まれていきます。
すると、本当はできる力を持っていても、自ら可能性を閉ざしてしまうのです。

――『あきれるほど小さい習慣』より

 昔できなかったことが、今もできないとは限らない。

 それなのに、「自分には無理」という思い込みを更新しないまま何十年も過ごしてしまえば、本当はできたかもしれないことまで手放すことになる。

老後に後悔するのは「失敗したこと」ではない

 挑戦すれば、もちろん失敗することもある。
 勉強しても身につかないかもしれない。
 新しい場所へ行っても、うまくなじめないかもしれない。

 しかし、失敗した経験なら、「やってみたけどダメだった」と納得できることもある。
 それよりも厄介なのは、最初から「自分にはできない」と決めつけ、一度も試さないまま時間が過ぎることだ。

 誰もが老後に後悔すること・ワースト1は、「自分にはできない」と決めつけ、可能性を自分で閉ざしてしまうこと

 やってみたいことがあるなら、「できるか、できないか」を今決める必要はない。
 まずは、鎖を少し引っ張ってみる。

 老後になって「あのときならできたかもしれない」と気づく前に、小さく試してみることが、未来の後悔を減らしてくれる。