どうすればお金をかけずに、売上や利益をもっと増やせるのか? この切実なお悩みに答えるのが、人気の販促コンサルタント・岡本達彦氏の最新刊『客単価アップ大事典 「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』(ダイヤモンド社刊)です。同書は、「行動経済学×現場目線」で「つい買いたくなる」販促の仕掛けとは何かを言語化した初の書。本書が提示するのは、「お客様の購買行動そのものを変える設計とは?」です。どうすれば、「利益が残る経営」へと変われるのか? 本連載では、『客単価アップ大事典』に収録しきれなかった事例の中から、現場ですぐに導入でき、成果につながりやすい客単価アップの仕掛けを厳選してご紹介していきます。
Photo: Adobe Stock
「待たされる」ことより、
「わからない」ことのほうがつらい
タクシー配車アプリを開くと、車のアイコンが地図上を動き、「あと6分で到着します」とリアルタイムで表示される。あるいは一部の飲食店では、注文後にモニターやアプリで「調理まであと何分」というカウントダウンが流れる。
実際の待ち時間そのものは、こうした表示があってもなくても変わらないはずです。それなのに、なぜお店やサービスは、わざわざこの「見える化」にコストをかけているのでしょうか。
実は、この「あと何分」という表示は、単なる便利機能ではありません。
人が「待つこと」そのものよりも「先が見えないこと」に強いストレスを感じてしまう心理を和らげるための、非常によく考えられた仕掛けなのです。
「わからない」という状態そのものが、不快感の正体
(統制感の欠如によるストレス)
人は、自分の置かれた状況をある程度コントロールできているという感覚、いわゆる「統制感」を持てないとき、強い不安やストレスを感じることが知られています。
「あとどれくらい待てばいいのか分からない」という状態は、まさにこの統制感が失われた状態です。
5分で終わるのか、30分かかるのか分からないままでは、その間に何をすればいいのかも決められず、ただ落ち着かない気持ちで待ち続けることになります。
「あと何分」という具体的な見通しが示されるだけで、たとえ実際の待ち時間が短縮されるわけではなくても、お客様は「この時間は他のことをして過ごそう」「もう少しだから待とう」と自分の行動を主体的に選べるようになり、同じ待ち時間でも感じるストレスは大きく軽減されます。
「進んでいる」ことが見えると、待つこと自体が我慢できる
(進捗の可視化による安心感)
もう一つの理由は、カウントダウンや車が地図上を進む様子が、「状況が確実に進行している」ことを伝えている点です。
何の表示もない状態では、お客様は「本当に注文は届いているのか」「配車はきちんと手配されているのか」という不安さえ抱きかねません。時間の経過とともに数字が減っていく、あるいはアイコンが近づいてくる様子を見ることで、「自分の依頼はきちんと処理され、確実に進んでいる」という安心感が得られます。
このように、待ち時間の長さそのものよりも、「見通しが立っているかどうか」「進行が確認できるかどうか」のほうが、お客様の体感的な満足度を大きく左右しているのです。
他の業種でも使える
「見通しの可視化」設計
先の見えない時間を「見える化」することで体感的な満足度を高めるこの手法は、他の業種にも応用できます。
・美容室やクリニックの受付:
「あと2組でご案内です」といった順番表示を待合室のモニターに出し、待ち時間そのものより「見通しの有無」による不安を軽減する
・引っ越し業者や宅配便の配送:
到着予定時刻をアプリで随時更新し、「今どのあたりを走っているか」を地図上で確認できるようにする
・修理受付やクリーニング店:
「本日の混雑状況」と「お預かり品の進捗ステータス」を店頭やアプリで表示し、仕上がりまでの見通しを事前に伝える
まとめ
飲食店やタクシー配車アプリが「あと何分」という待ち時間をリアルタイムで表示するのは、単に情報を親切に伝えるためだけではありません。
・「統制感の欠如」によるストレスを、見通しを示すことで軽減し
・「進捗の可視化」により、依頼がきちんと処理されているという安心感を与えている
という、待ち時間そのものの長さではなく、「先が見えているかどうか」を通じてお客様の体感的な満足度を高める仕掛けなのです。
販促コンサルタント
現場目線ですぐ使えるマーケティングを伝える第一人者。
広告制作会社時代に100億円を超える販促展開を見て培った成功体験をベースに、むずかしいマーケティングや心理学を使わず、
アンケートやマンダラ等を活用して、誰でも売れる広告を作れる手法を体系化する。
業界を問わず即効性が高く、お金をかけずに売上を上げられることから、全国の商工会議所・経済団体などからセミナー依頼が殺到する。
初の著書『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法』(ダイヤモンド社)は、Amazon上陸15年、「売れたビジネス書」50冊にランクインする。
他の著書に、『お客様に聞くだけで「売れない」が「売れる」に変わるたった1つの質問』
『あらゆる販促を成功させる「A4」1枚アンケート実践バイブル』
『「A4」1枚チラシで今すぐ売上をあげるすごい方法』『「マンダラ広告作成法」で売れるコピー・広告が1時間でつくれる!』(以上、ダイヤモンド社)等がある。




