この結果によって、マクゴニガルは、「ストレスがあったとしても、それを穏やかな心で受け止めることができれば、心身の健康は阻害されないばかりか、むしろ改善される。困難に直面したらストレスを感じるのが自然だと考えて受け入れる人は、ストレスと戦おうとする人よりも、再起力があって長生きする」と考え方を改めたということです。

ストレスには気力を高め
自信を強める効果があった

 実際に、ストレスには悪い面ばかりでなく、良い面もあることがわかっています。複数の研究によれば、ストレスは気力を高め、明晰さを増し、状況をより正確に把握できるようにします。障害を克服する過程で自信を強める効果もあります。これは最も長く持続する、最も望ましい種類の自信だといいます。

 つまり、ストレスは悪者であると同時に、どうやら善いものでもあるようなのです。命の危険にさらされた時など、極度の緊張と共に、大きなストレスが掛かります。しかしこれは命を守るための準備として必要なものに違いありません。

 ストレスの効用を示す、もっとマクロな研究結果もあります。ストレスの多い国は経済発展しており、国民の幸福感も高いという調査結果があります。

 2005年から2006年にかけて、調査会社ギャラップ社が世界121カ国、12万5000人に対して実施した世論調査によれば、ストレス指標が高ければ高いほど、国も豊かだという結果でした。「昨日、多くのストレスを感じた」と答えた人が多い国ほど、平均寿命やGDP(国内総生産)が高かったのです。

「ストレス指標が高いほど、国民の幸福感や満足度も比例して高い」ということも、この調査結果は示していました。

 ストレスを感じる人が多いことは、一方では「健康や仕事、生活水準やコミュニティーに満足している」人が多いことを意味していたのです。ストレスを多く感じた日には、怒りや憂うつ、悲しみ、不安を感じやすくなっていましたが、同時に、ストレスを多く感じることは、喜びや愛、笑いを多く感じることとも、関係していたのです。