Photo by Yoshihisa Wada
上場企業で急増する女性社外取締役。だが、企業の「数合わせ」や「お飾り登用」によるガバナンスの形骸化を危惧する声も根強い。社外取が有事で機能するために日頃から意識すべきこととは何か。また、女性社外取だからこそ持てる視点とは何か。特集『社外取10821人の全序列【2026最新版】熱狂バブルの落とし穴』の#13では、東急初の女性社外取を務め、現在はFOOD & LIFE COMPANIESの社外取を担う蟹瀬令子氏に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 大日結貴)
2015年に東急の社外取に就任
女性社外取の「草分け」的存在
――蟹瀬さんは2015年に東急(当時・東京急行電鉄)初の女性社外取締役に就任されました。当時、女性の社外取は日本全体でも非常に珍しく、まさに草分け的存在です。まだ女性の登用が少なかった当時、なぜ打診されたのでしょうか。
15年に東急からお声掛けいただいたときは驚きました。当時の大企業を見渡しても女性の社外取は数人という状況でしたので、おっしゃる通り日本全体で見ても草分け的な存在だったと思います。
お声を掛けていただいた理由は、「自ら事業を生み出す苦しみを知っている、社長経験のある人材が欲しい」ということでした。私は長年消費者視点で発言することを大切にしてきましたので、それならお役に立てるかもしれないとお受けしたのが始まりです。
――15年当時はコーポレートガバナンス・コードが策定されたばかりでした。当時の取締役会は、どのような雰囲気だったのでしょうか。
当時はまだ、取締役会といえば「あっさり終わる」のが普通で、社外取がきちんと物を言う時代のまさに夜明けでした。私はそこで、ステークホルダーや消費者が聞きたいであろうことを素直に聞く役割を担おうと考えました。「この数字は何に基づいているんですか?」と素直に聞くと、皆がドキッとするような時代でしたね。
――社外取に女性が増えてきた現在ですが、「女性ならではの目線」は経営にどのように生かされるとお考えですか。
女性か男性かという属性よりも、まずは社外取としての本質的な役割を果たした上で、「経営陣にこびないこと」が何より大切です。
その大前提があった上で、あえて女性目線での役割を挙げるなら、社内に対して「女性をもっと活躍させなさい」とハッパをかけることでしょうか。私は東急で「蟹瀬塾」という女性社員のコミュニティーを立ち上げ、現在も支援を続けています。
――女性の社外取は増えましたが、同時に「質」を問う声もあります。現状をどう見ていますか。
コーポレートガバナンス・コードの浸透に伴い、女性社外取の登用が急増する陰で、企業の「数合わせ」による形骸化を懸念する声も根強い。重大なリスクに直面したとき、社外取の存在意義とは何か。次ページでは、社外取にとっての日頃の関係性の重要性を聞くとともに、専門外である外食の社外取を全うするために彼女が意識していることを深掘りする。







