最近では「スキマバイト」と呼ばれるスポットワークに登録している人はのべ3000万人を超え、正社員であっても副業をしなければ生活が成り立たない人も珍しくなくなっています。

 現代では、家庭環境や働き方を問わず、自分で何を選ぶかをじっくり考える余裕を持てない人が増えているように思います。

 さらに、スマホやSNSが普及したことで、ニュース、広告、生活情報、他人のライフスタイルなど、日常的に大量の情報が流れ込み、常に何かに追われているような感覚が当たり前になりました。それらに反応し、比較し、ときには評価することまで含めると、私たちは「選ばなければならない場面」にずっと身を置いているといえます。

 このような環境の中で、人々は少しずつ主体性から距離を置きたくなっているのかもしれません。もし自分で決めなくてもよいのなら、誰かに任せたいという気持ちです。そうした思いに応えているのが社会がすでに用意している「選ばなくていいサービス」であり、それが一種の「便利さ」として受け止められているのだと思います。

一見お得な福袋は
本当に割安なのか?

 私たちは日々の買い物において、何を基準に選んでいるのでしょうか。

 たとえばにんじんを買うとき、見た目の新鮮さやサイズ、産地などいろいろな要素がありますが、やはり価格は重要な判断基準です。品質にこだわる人でも、同じ条件なら安い方がいいと考えるはずです。

 このように、商品には「安いこと」自体が1つの力として働いています。では、どうすれば安くできるのか。にんじんであれば、肥料や栽培方法の改良による増産、生産地を近くにすることで輸送コストを下げる、袋詰めなどの作業を省人化するといった工夫が考えられます。

 ここで注目したいのが、商品に乗せられているコストの中身です。商品の価格には、さまざまなコストが乗せられていますが、「選ばない消費」(編集部注/好みの曲を自動選曲してくれる音楽配信サービスなど、選択を人にゆだねることで、手間を省き意思決定のストレスを軽減しようとする消費行動を、筆者はこのように定義している)においては、私たちが「選ぶ」ことを誰かに任せるぶん、その手間が商品やサービスの価格に反映されている可能性があります。