西武渋谷店の閉店で考える「東京のデパート」と「大阪のデパート」の決定的な違いPhoto:PIXTA

首都圏の私鉄系百貨店は、駅前再開発で規模が縮小されるか、消えつつある。東急、西武、東武、小田急、京王も例外ではない。なぜ、デパートは瀕死時代を迎えているのか。かつての強みは、色鮮やかな包み紙に象徴される「信頼ビジネス」だった。それは長引く不況で、いったい何に置き換わったのか。今こそ庶民がデパートで買うべきものがあるとすれば、その答えとは?(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)

決まってみればショックな西武渋谷の閉店

 いずれはそうなると覚悟していても、決まってみればショックだ――ということはあるものだ。その一つが、西武渋谷店の閉店のニュースだった。2026年9月末に、同店はその幕を閉じる。

 沿革を見ると開業は1968年。西武百貨店といえば80年代の「セゾン文化」の印象が強い。糸井重里氏による「おいしい生活。」「ほしいものが、ほしいわ。」などの名キャッチコピーも懐かしいし、ファッショナブルなDCブランドも青春時代の一大ブームだった。

 それが、バブル崩壊とともに凋落の一途をたどり、ある日気づいたら、なんとセブン&アイ・ホールディングス(HD)の子会社になっていた。高級品ぞろいのはずのデパ地下(食品フロア)で、コンビニと同じPBブランドのパッケージを見つけた時の衝撃は忘れられない。

 合併を経て「そごう・西武」となった後、セブン&アイにも手を引かれ、投資ファンドへ売却された。もはや80年代の文化の面影はなく、西武池袋本店はヨドバシHDが大家となり一大リニューアル中だ。渋谷店が残っただけでも奇跡では?と思っていたが、とうとう来るべき時が来た。

閉店前に買っておきたい「夕方のお買い得品」

 さて、ファッションのイメージが強い西武渋谷店だが、実はおすすめの穴場スポットがある。A館地下1階の食品フロアだ。いわゆるデパ地下というより、手軽に買い物できる食品スーパーという感じ。

 セブン&アイが手を引いたらスーパーとしての魅力もなくなるかと思ったが、そんなことはなかった。高級食材ばかりが並ぶ他のデパートと比べて、価格も比較的お手頃。夕飯用の生鮮食料品を買って帰ろうかという時に、実に重宝する。ランチ時には弁当も並び、夕方には大きく値下げされており、「今日は疲れたから料理したくないな」という時にもありがたい。