沸騰!エンタメビジネス#12Photo:NurPhoto/gettyimages

ソニーグループの2026年3月期決算が発表された。販売終末期に入ったPS5の出荷減にもかかわらず決算は堅調で、発表の中では次世代ゲーム機(仮称PS6)に関しての言及もあった。以前のハードが売れないと赤字になる状態から大きく変わったソニーのゲーム事業には大きなビジネス構造の変革があった。連載『沸騰!エンタメビジネス』の本稿では、決算を読み解きながら、ソニーのゲーム事業の変貌について分析しよう。(東洋リサーチアドバイス シニアアナリスト 安田秀樹)

PS5は日本では存在感を失い、販売台数も下落したが
収益性では優良を保つソニーのゲーム機事業の強みとは

 今回は、ソニーグループの2026年3月期通期決算と次世代ゲーム機について取り上げよう。決算自体は大変好調であった。連結売上高は前期比3.7%増の12兆4796億円、本業の儲けを示す連結営業利益は同13.4%増の1兆4475億円を記録している。半導体や音楽事業の好調も要因だが、ここではゲーム&ネットワークサービス(G&NS)事業セグメントにスポットを当てる。

 G&NS事業は、売上高が同0.3%増の4兆6856億円、営業利益が同11.7%増の4632億円と堅調な結果となった。売上高に関しては、Playstation5(PS5)ハードの販売がピークアウトしたこともあり小幅の伸びにとどまったが、営業利益は2ケタ増を達成している。ゲーム事業の収益構造は、平井一夫氏が社長を務めていた10年代に大きく変化しており、現在ではプレイステーションネットワーク(PSN)のサブスクリプション(定額課金)モデルによるリカーリング(継続収益モデル)ビジネスによって安定化している。さらに、同事業で大きな比率を占める米国事業はドル建てであるため、進行する円安による為替相場の恩恵を受け、より大きな収益を上げているのである。

 半導体の市況悪化で苦しんでいる任天堂とは、業績面で正反対の状況にある。PS5ハード自体は依然として逆ざや状態(製造コストが販売価格を上回る状態)とみられるものの、ハード販売がすでにピークアウトのタイミングを迎えていることや、日本向けモデルを除いて値上げを実施したことで、ゲーム事業全体への影響は小さく抑えられているのである。

 本連載『Switch2値上げに見る任天堂の「巧みすぎる戦略」とは?ソニーとの違い、今後の業績や販売への影響をアナリストが徹底検証!』でも触れたが、ソニーグループが積極的に告知していないことや、日本国内におけるPlayStationの存在感が著しく低下していることもあり、PS5の値上げは国内ではあまり話題になっていない。先月、Switch 2の値上げに関する話題が大きな騒動になったのとは対照的である(値上げに関しては下表参照)。いつの間にか、日本においてPlayStationはメインストリームではなくなってしまっているのである。しかしその一方で、先に述べた通り決算は大変好調だ。筆者は、今期はPS5の販売台数が前期比で600万台以上減少すると予測しているが、会社側はそれでも増益を計画しているのである。

 なぜこのような状況が生まれているのか、ソニーグループのゲーム事業の何が変わったのか。収益構造、ビジネスモデルの激変を解明していこう。そして、決算資料でついにその影を見せ始めた次世代プラットフォーム(仮称PS6)の展望についても、詳しく見ていこう。