しかし実は宗方は死病を抱えており、自分が死んだ後のひろみのことも考えて、親友の桂大悟に彼女が世界に羽ばたく選手になれるよう指導することを依頼、また西高男子テニス部副キャプテンでずっとひろみを愛しながら温かく見守ってきた藤堂貴之に「(ふたりの恋愛は)お前たちの自覚に任せる」と言い、彼女の今後の成長を大切にしながら愛を育んでほしいとの意図を伝えるのでした。
そして2人は、大人たちの信頼に応えられる人間であろうと、宗方コーチの死後もそれぞれに励んでいくのでした……。
宗方コーチの皆まで言わない(明るく元気だけれどもちょっと鈍感なところのあるひろみには伝わり難い)態度や、だれよりも優しいけれども世界に羽ばたいていこうとするひろみを支えるにはちょっと力不足の感もある藤堂(高校生としては十分すぎるほど頑張っていますが、ひろみやお蝶夫人が凄すぎて……)には、時々歯痒さを覚えるものの、メインの登場人物たちは全員が誠実で直向きで、その生き様は荘厳ですらあります。
この点でも『ベルサイユのばら』同様、大ロマン派を代表する70年代の名作といえるでしょう。ちなみに山本鈴美香は1949年6月生まれで、池田同様、団塊の世代に属しています。
様々な教養を身につけていた
『ベルばら』の作者・池田理代子
70年代の少女マンガにおける歴史大河ロマンといえば、筆頭に上がるのは池田理代子の『ベルサイユのばら』(『週マ』72年21号~73年52号)でしょう。
池田は1947年12月、大阪市に生まれました。士族の家系で父は職業軍人でしたが本人は戦後生まれで、学校では戦後民主主義教育を受けた世代です。母は教育熱心で、書道や琴、茶道に華道、声楽、ピアノ、絵画、そろばん、英語……と多くの習いごとをし、東京教育大学文学部哲学科に進みました。しかし池田が学者を志望したため父親は学資などの援助を差し止め、生活費と学費のためにマンガを描くことを選びます。







