物語の大枠は、ふつうの女の子と王子様の恋であり、典型的な上昇婚願望譚でした(つくし本人はその気はなかったものの、つくしの母は玉の輿狙いで彼女を英徳学園に入れています)。
90年代は不況のために新卒者の就職難が言われ、男女雇用機会均等法で推進されたはずの女性の就労意欲が後退し、専業主婦願望がぶり返した時期でもありました。
『花男』は上昇婚願望譚に加えて
「オレ様」要素も兼ね備えていた
甘い恋愛ドラマを意味する「スイーツ」マンガには、当然ながらイケメン男子が登場しますが、70年代のおとめちっくマンガではやさしい男性が支持されていたのに、スイーツではしばしば強引な“オレ様”が人気となっています。
これも男性にリーダーシップを取ってほしい、経済面も含めて全面的に庇護して欲しいという願望の現れなのかなと思いますが、その一方で女性は自分の希望を主張するばかりなのは不健全な気もします(牧野つくしは頑張り屋ですが)。
とはいえ少女マンガにおけるこうした表現は、作者も読者もそれが御都合主義の非現実的願望であり、実は幸福をもたらさないことを了解したうえで、醒めた陶酔を味わっている面もあるでしょうし、男性読者も少なくなく、その証拠に2015年から19年にかけて少年誌『ジャンプ+』に、本作の続編で後輩世代の物語『花のち晴れ~花男Next Season~』が連載されました。







