星野リゾートの星野佳路社長が『星野リゾートの教科書』という著書のなかで、「ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略」というものがある、と書いていました。あらゆるビジネスに共通する5つの要素というものがあり、それは次の5つであると。
・価格
・商品
・アクセス
・サービス
・経験価値
競争で勝ち抜くには、5つの要素のうち、1個でいいのでナンバーワンになる。そしてもうひとつの要素では、業界で2番になりましょうと。そして残りの3つは業界の平均水準で構わないという発想なんです。
星野リゾートの場合は、いちばん強いものは経験価値の提供です。非日常への扉を開く施設があったり、ホテルが街のハブとなって、そこを起点に宿泊客が新たな体験を楽しめたり。星野社長は「教科書通りにやっているだけです」とよくおっしゃるんですが、このアイデアには刺激を受けました。
私もああだこうだと悩んでいた時期に、この5つの価値を配信業界に置き換えて考えてみたんです。
現状、価格とアクセス=買いやすさについては、配信業界ではほとんど一緒、そんなに差はありません。各社とも価格帯、アクセス環境では差別化できないわけです。
だとしたら、ドラマづくりで必要になってくるのは「商品としての価値」です。ドラマとして破綻なく、しっかりとした物語になっていることが求められます。だから、私が参画するプロジェクトであれば、絶対的な1位ではないかもしれないけれど、業界の水準よりは上位、お客さまに満足いただける良質なものを提供していく。
映像作品はあらゆる
体験価値を提供できる
いちばん重要なのは、やはり「体験価値」です。
これは必ずしもフィジカルな体験を指すわけではありません。「脳内体験」でいいんです。
物語を見終えた後に少し賢くなったり、やさしくなれたりする。もっと分かりやすくいえば、昔の高倉健さん主演の東映やくざ映画であれば、自分が強くなった気分で、映画館を出たら肩で風を切って歩いたりする。







