あるいは『スター・ウォーズ』を観た人だったら、自分もルーク・スカイウォーカーになった気分で、戦闘機を操縦している気分になるかもしれない。あるいは、『SHOGUN 将軍』だと、日本の女性は簡単に口説けないんだな、とか(笑)。

 映像作品って、ありとあらゆる体験価値を視聴者に提供できるんですね。

 そういう意味で、その作品にいかなる体験価値を提供できるポテンシャルがあるかということを、企画立案をする時やIP(編集部注/Intellectual Propertyの略。知的財産)を選ぶ際の重要な判断基準のひとつとしています。

 そしてもうひとつ、私が大切にしているのが、「逆張り」の発想です。

 私が思うに、人の心に届く、心を打つ作品の基本にあるのは、逆張りのアイデアです。

 自分は「コントラリアン・インベスター」、人がやらない企画に投資をするタイプの人間だと思っています。『沈黙の艦隊』がいい例ですが、人が投げない球を放る。人が手をつけないところに賭けていくと、風当たりも強い。でも、そういう状況になると、かえって情熱が湧いてくるという人間です(笑)。

日本の若手プロデューサーが
恋愛ドラマに手を出さない理由

 いま、逆張りをするとしたら、ラブストーリーでしょうね。ラブストーリーは実はあまり人が手をつけたがらないジャンルのドラマになっています。

 ラブストーリーは、途中の回の数字が悪かった場合に、打つべき手が少ないんです。テレビでは、視聴率が伸びない時に「じゃあ、こういう仕掛けを入れていきましょう」という試行錯誤をしていきます。ところが、恋愛ドラマは「札」=打つべき手が少ない。だから、製作者があまりやりたがらなくなってしまいました。

 50代のプロデューサーたちがラブストーリーに二の足を踏むのはなんとなく分かるのですが、興味深いことに、20代、30代のプロデューサーも恋愛ドラマに手を出したがらない。「ラブはキツいです」とか言ってるんです。

 ラブストーリーって、自分の体験がどうしても投影、反映されてしまうので、ハズした時は恥ずかしいことこの上ない、という理由もあると思います(笑)。ラブストーリーはツッコミどころが多いので、上の世代が散々悪口を言ってきたのも、おそらく良くなかった。