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かつてタクシーの車内では、運転手が無線で連絡を取り合う姿が見られたものだ。だが、今は跡形もない。スマートフォンの普及などに伴って、2000年代後半以降、無線は徐々に姿を消していった。それ以外にも多々ある「無線が廃れた理由」と、ちょっと意外な「無線の方が良かった点」を、現役タクシードライバーの筆者が明かす。(現役タクシードライバー/物流ライター 二階堂運人)
無線が現役だった頃
車内で交わされていた言葉
かつてタクシーの車内には、絶えず無線(注:本稿では、主にアナログ無線を指す)の声が響いていた。
「○○番、迎車入りました、どうぞ」「了解、向かいます」――あの独特の掛け合いを覚えている読者も多いのではないか。しかし今、タクシーに乗って耳を澄ませても、あの声はほとんど聞こえてこない。
今、ドライバーの手元にあるのは無線機ではなく、スマートフォンや業務用端末だ。この十数年で、タクシーの「現場の道具」は完全に入れ替わった。
筆者は無線が使われなくなった後にタクシー業界に入ったため、無線が日常的に飛び交っていた時代を経験していない。
だが、ベテランドライバーへの取材を重ねるうちに、無線から伝わってくる声色や空気感が、運転手の仕事に一役買っていたことが分かってきた。
そもそも「タクシー無線」とは何なのか、知らない読者のために簡単に説明しておきたい。
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仕組み自体は難しいものではなく、トランシーバーを大掛かりにしたものだと考えてもらえばいい。
各タクシー会社は、自社専用の無線設備を持っており、会社の配車センターと、営業エリアを走る一台一台のタクシー車内に無線機を設置していた。







