
むしろの中から中村倫也
心意気は、登場人物が手ぬぐいで頭巾とマスクをしているため、目しか見えないことだ。誰が誰だかほとんどわからない、つまり、表情で伝えられない。その状態で演技をするのは難しいだろう。だが、見上愛を筆頭に看病婦役の俳優たちは真摯に演じている。
顔が見えないといえば、廊下にむしろにくるまれている人物がいる。手だけ出していて、りんは亡くなったのだと思って手を合わせる。
と、「まだ生きてる」と起き上がった、その人は――
中村倫也。
新潟編に登場すると公式で紹介されていて、いつ出るのか心待ちにしていた視聴者も少なくないだろう。やっと出て来た。
東京から、赤痢を持ち込んだ人物として、村人から敬遠されていて、廊下の隅に転がされていたのだ。まあ不潔だった部屋のなかより風通しのいい廊下のほうがマシだったかもしれないが。
中村倫也(役名は柳生藤次)は、りんが、終わりの見えない看病に恐れおののいている看病婦に、「こわくていいんです。こわがらないと伝染してしまう」「ちゃんとこわがって看護しましょう」と励ましているのをじっと見ている。
まずは、自分は感染しないこと。それが感染対策。これもバーンズ先生の最初の教えである。未曾有の赤痢患者に向き合いながら、りんは初心に帰っていく。
患者の衣類を燃やしながら、昔よく歌っていた「おっちょこちょい節」も口をつく。
女子寮の学生たちにもらった水飴も役に立つ。といた湯を飲んで黒川は一息つけた。はちみつのような殺菌、抗菌作用はないだろうけれど、ほのかに甘いのと保湿にはよさそうだ。
一日がかりで、避病院の清潔は取り戻し、翌日からも大忙し。誰もがりんにいろいろ指示を求めるので、手が回らない。
困っているところにりんを呼ぶ声が。
砂煙舞うなかから走ってきた人物は、手ぬぐいで顔半分を隠している。だがその大きな意思の強そうな瞳は紛れもなく、直美(上坂樹里)。
助太刀にかけつけた感が、待ってました!だった。
この展開を見て思うのは、病という深刻な題材には王道が相性がいいということだ。ひねりを加えることなく、善意や、ただまっすぐ生きること、誰かを助けること、困ったときに誰かが助けに現れること、そういうものだけが窮地に勝てるのだという気がする。








