日々の仕事や生活に追われるなかで、「最近、自分の感性が鈍っている気がする」「アイデアや表現が出てこない」と感じることはありませんか? 感性は、特別な人にだけ与えられた才能ではありません。本記事では、ベストセラー『13歳からのアート思考』の著者・末永幸歩氏の、6年ぶりの新刊『「いまを生きる力」を取り戻す 感性の教室』から内容を一部抜粋して、閉じかけてしまった大人の「感性の扉」を開くヒントをご紹介します。

大人こそ「子どもの視点」が必要な理由――アートと子どもから学ぶ、失われた「感性」の取り戻し方Photo: Adobe Stock

アーティストと子どもに
「感性の扉」の開き方を学ぶ

感性は特別な人だけに備わった才能や一部の人だけが持つ能力ではありません。『「いまを生きる力」を取り戻す 感性の教室』では、その手がかりを2つに求めます。

1つは、アーティストたちが生み出してきた作品。
もう1つは、子どもたちが世界を見つめるときの視点です。

アートや子どもの視点について、さまざまな角度から思考を巡らせること─それは閉ざされた扉をギシギシと揺り動かし、それを再び開かせてくれる潤滑油になります。

すでに触れたとおり、アーティストたちの思考プロセスや、アート作品それ自体には、独自の「ものの見方」を確認できます。
そこで本書では、古今東西のアートを扱いながらその端緒にある視点に迫ることで、感性を開く手がかりを探っていきます。

なお、本書の主眼は「アート作品についての知識や教養を身につけること」ではなく、アートを介してみずからの「感性を開くこと」にあります。
そのため、数多くの作品をカタログのように列挙することはせず、クラスごとに厳選した「1つの作品」を深掘りするスタイルを採っています。本書で扱う作品はつくられた国や地域もさまざまで、登場する順番も制作された時期とは無関係です。
なお、巻末には本書で紹介するアート作品を制作年順に示した「一覧年表」をご用意しておきました。そちらは、必要に応じて参照していただければと思います。

さて、「感性を開くために、アートが手がかりになりそうだ!」と感じた方でも、なぜもう一方が「子どもの視点」なのかについては、首をかしげているかもしれません。
これに関して、まずはパブロ・ピカソの言葉とされる有名な一節をご紹介しましょう。

「子どもはみんなアーティストである。問題なのは、どうすれば大人になってもアーティストのままでいられるかだ」

大人とは異なる存在として「子ども」が認識され、その独自の表現に人々が着目するようになった近代以降、ピカソだけではなく多くのアーティストたちが、子どもたちの「ものの見方」にインスピレーションを受けてきました。

子どもというのは生まれながらにして、「感性の扉」を大きく開け放っている存在だと考えられます。
そこで本書では、アーティストたちが目指したのと同じように、私たちも「子どもの視点」を探ることで自らの感性を取り戻していきたいのです。